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2022.09.02 Friday
日野自動車の不正
日野自動車の不正に絡んで、「日野自動車の不正で考えた、日本企業ご自慢の「現場力」をDXで撲滅すべし」という記事を読んだ。
日経XTechというところの記事。 書いたのは、木村岳史という日経の編集委員で、この人は極限暴論というIT関係のコラムが面白い。 そのコラムで日野自動車の燃費の不正について触れている。 彼いわく、今回の「現場の不正」というのは、上層部が現場に丸投げして「できない」という意見を(無言の圧力で)封殺し、その結果やっぱりできないから不正をしてしまう、という構図であり、他の会社の事例と同じパターンとのこと。 ぼくもそう思った。 特に製造業では「あるある」だと思う。 昔は風通しが良かった会社も、高度成長を経てだんだんと老化していく。 今の日本の大企業は戦後の焼け跡から立ち上がって、成長した会社がほとんど。 70年代の「欧米に追いつけ追い越せ」の時代は、お手本があった。 その時はもう欧米で出来ているものがあったから、出来ないはずはない、という状態だった。 そのうち、欧米で出来ていないものも、工夫してできるようになった。 この頃、Japan as No1と呼ばれたのだと思う。 それはあくまで挑戦者としてのスピリッツを持っていたから、出来たのだと思う。 そこから三十数年経って、追われる立場になった。 本来の「現場の力」も落ちて、攻めていた頃のことも知らない社員が増えたのだろう。 既に日本的な組織が弊害になっていることにも気づかない。 そういう土壌で、これらの不正が起こったのだと思う。 それを「組織のたこつぼ化」と称して、こんな風に書いている。 「報告書では、組織のたこつぼ化の実態をこんなふうに記述している。「各部署が互いに協力し合うことなく、自分たちが保持する権限や利害にこだわり、他部署からの干渉を極力排除しようとする傾向が強い」「縦割り意識が強く、自ら担当する工程に対しては取り組むものの、他の工程に対しては興味や関心が薄く、他の工程に余計な口を挟まない代わりに自らの工程への協力も求めない」。日野自動車の問題点として書かれてはいるが、どこの企業でも「あるある」の話だ。」 なんだか寂しい話だ。 もちろん、みんながみんなそういう組織ではないだろう。 それでも、構造的な問題があるということだ。 締めくくりの文章は、中国のファーウェイの社長の言葉。 「有名な話だが、中国の華為技術(ファーウェイ)のエピソードで記事を締めよう。ファーウェイのCEOはかつて社員にこう厳命した。「米国の靴を履く。自分の足を削ってでも靴に合わせよ。履き心地が違うからといって勝手に靴を変形させるな」。米国の靴とは米国のコンサルティング会社などから学んだ経営手法であり、自分の足とは従来のやり方のことだ。今では米国などから警戒されるファーウェイだが、米国企業を完コピすることで世界に飛躍した。DXの際に同じことを日本企業もやるべきだぞ。完コピするのは同盟国の企業じゃないか。」 ぼくもそう思う。 |
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