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2022.05.24 Tuesday
アテンション・エコノミー
アテンション・エコノミーという概念が最初に出てきたのは結構古い。
ネットによると、1969年にノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンが、経済が消費経済から情報経済へ移行すると同時に、私たちの「アテンション=注意」が資源へと変容し、それが「通貨」のように扱われるようになると予測し、出てきた概念だ。 その後、1997年に「アテンション・エコノミー」という言葉を提唱して、広がった。 概念が提唱されて、実際に言葉になるまで30年弱かかっている。 この言葉がインターネットの発達とともに出てきたということだろう。 たくさんあるネット上のサービス、例えばFacebookやTwitter、Instagram、Googleの一連のサービスなどが無料で使えるのは、これらの企業がそれらのサービスから、ぼくらのアテンションがどこに向いているかということを売って、広告収入を得るというビジネスモデルを作ったからだ。 文字通り、ぼくらの興味や志向が広告代という通貨になっている。 これが「アテンション・エコノミー」。 だからこそ、無料でサービスを受けられる。 SNSが表示するニュースや広告などは、それを見たぼくらの履歴や時間が収集されている。 その結果がまた反映されて、ぼくらの志向に合わせた広告やコンテンツが表示される。 こんなことを1969年に予想したとは、やっぱりノーベル賞の学者だ。 でも、そこから逆に言うと、個人情報を保護すると、アテンション・エコノミーが成り立たなくなる。 なんでも本人の承諾を得て使わないといけないということだ。 だから、最近のWebサイトではアクセスした時に「このサイトはクッキーを利用します」というような表示が出る。 これは利用者に承諾を得ているのだ。 個人情報保護法とアテンション・エコノミーは両立しにくい。 欧州や日本は個人情報保護の方向に行っている。 アメリカも民主党はそんな感じだと思う。 ネット上でタダで利用できるコンテンツは、そういうものに支えられている。 そのうち、GmailやGoogleカレンダーは月額利用料が決められて、そのランクによって個人情報が守られるようになるのかもしれない。 でも、それで最高ランクの料金を払ったら、自分が見たいものがおすすめされなくなる。 それはいいことではあるが、ちょっと寂しい気もする。 それはもうアテンション・エコノミーの餌食になっているということか…。 |
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