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2022.01.31 Monday
グリーンエネルギーの代償
ウォール・ストリート・ジャーナルの1月17日の社説に、「ジョンソン英首相のもう一つの大失敗 グリーンエネルギー重視が保守党への打撃に」というのが出ていた。
ウォール・ストリート・ジャーナルは従来から脱炭素の取り組みには懐疑的だったと思う。 記事にはこう書かれている。 「英政府の推計によれば、2021年の世帯当たりのエネルギー料金負担は、電気とガスを合わせて前年比6%増の1339ポンド(約21万円)に達した。この数字は、一部の家庭でのもっと大幅な負担増を覆い隠しているかもしれない。昨年8月以降、25社ほどのエネルギー供給会社が破綻したことで、何千もの企業と200万前後の世帯(全世帯の8%に相当)が、新たな供給会社との契約を強いられており、その際に以前より高い料金を受け入れた可能性がある。」 記事に書いてあるように、イギリスの国民がエネルギーコストの上昇に憤慨していたことが、ジョンソン首相に打撃を与えたということは事実だろうと思う。 実際、脱炭素というのは圧倒的にコストアップの方向だ。 水素など、作るだけでコストが上がる。 石炭や石油を燃やすほうがコストが安い。 地下にCO2を埋めるなどというのも、圧倒的なコストUPだ。 脱炭素でコスト安というのは、既存の原発を動かすのが第一だと思う。 コスト増は当然エネルギー消費者に転嫁される。 みんな環境が大事だから、CO2を削減と言っているが、それは自分の負担がない前提だ。 イギリス国民も、そんな負担をする気はなかったのだろう。 電気代がどんどん上がって、みんな「こんなことになるとは思っていなかった」と憤慨しているのだろう。 エネルギーを使わずに生活はできない。 今、値上げが増えているのも、石油が上がり、エネルギーコストが上がっていることが一因だと思う。 実際、原発を止めて火力に切り替わって、電気代は上がった。 おまけに太陽光の電気を意図的に高く買うことで、太陽光発電は普及したが、電気代は転嫁されて高くなった。 今や日本の電気代は中国の倍だ。 製造業が出ていくのも無理はない。 フェア・トレード商品のように、消費者が選んで買うものならコストUPもいいだろう。 負担したくない人は買わなければいいのだから。 でも、エネルギーコストは税金みたいなものだ。 みんな払わざるを得ない。 結局は負担と受益の問題だ。 気候変動問題のために、脱炭素は必要だというのなら、その負担をしないといけない。 脱炭素はしたほうがいいと思うが、負担はあまりしたくないのが、ほとんどの国民だ。 記事の最後はこう締めくくられている。 「これら全てのことは、家計部門の現実を犠牲にし、環境重視の幻想に浸ろうとする誘惑に駆られている世界中の右派政党に対する警告となっている。」 グリーンなエネルギーは値段が高いことをもっと伝える必要があるぞ。 |
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