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2021.12.30 Thursday
地上波に思う
年末で息子たちが帰ってきて、付き合いで地上波を見た。
「運動神経悪い芸人」という枠ができている。 ナイツの塙とか、麒麟の川島、フットボールアワーの後藤などがその枠に入っている。 12月30日のゴールデンアワーに放送しているのだから、かなりの視聴率が見込めるコンテンツということだ。 それらの運動神経が悪い芸人がハンドボールやソフトボール、卓球、水泳、バスケなどをやる。 まあ、本当に下手なのだろうが、それにしてもこれはわざとだろう、という感じ。 あまりにも下手すぎて、笑ってしまう。 昔と違うのは、その「運動神経悪い芸人」たちがお互いにそのVTRを見て、何のてらいもなく笑って、ツッコミを入れているところ。 別に運動神経が悪くても、それがどうした、という感じだ。 昔はシャベクリやコントをやって笑わせていたが、今は「運動神経が悪い」ことを売りにしている。 どちらかというと、悪い意味で生まれつきの才能であり、芸ではない。 ぼくらの若い頃は、それは恥ずかしいことだった。 今はそれをネタにして、ギャラがもらえるのだ。 面白くないことはないが、何だかなあ、という感じ。 誰かが、何かをできないことを笑う、というのは感覚的に抵抗がある。 だからこそ、本人たちがそれを笑い飛ばさないと、笑えないのだろう。 あの番組、運動神経が悪いということを、当の本人が恥じていたら成立しないと思う。 でも、笑いとしてはイージーで、あまり上等なものではない。 考え抜いたネタで、演じているわけではないからだ。 脚本もなく、ぶっつけ本番。 衣装はジャージだから、安い。 借りるところも、体育館とか、運動場でOKだ。 やる方も、もともと運動神経が悪いのだから、やりやすい。 いつもより、ちょっと派手にその悪さを目立たせればいいだけだ。 場合によっては、本気でやるだけでもいい。 何人か有名な芸人が入っているが、それ以外はギャラが安い芸人で済む。 事前の打ち合わせもほとんど要らない。 要するに、すぐに作れて、笑いが取れる番組が作れるのだ。 こんなことをやっていて、いいのだろうか。 何回か書いたが、大宅壮一はテレビが出てきたときに「一億総白痴化」と言った。 低俗なテレビを見るくらいなら、本を読めという意図だったのだろう。 でも、その大宅壮一もあの番組を見たら腰を抜かすだろう。 貧すれば鈍するで、テレビ局もスポンサーがなくなり、金をかけずに番組を作らないといけないから、こんな番組を量産する。 テレビに出る方も、ほとんどが30代、40代以上だ。 若い人たちはテレビを見ない。 見ないから、スポンサーがつかなくなる。 悪魔のサイクルに入っている。 こんなことをやっていて、いいのだろうか。 |
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