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2021.08.18 Wednesday
悩ましいEV化
世界中の自動車メーカーのエンジン技術者は悩んでいるだろう。
さらに、エンジンの部品を作っている会社もそうだ。 EV化でエンジンがなくなると、多くの人が失業することになるからだ。 資源としてのガソリンはいつかは枯渇する。 ずっと枯渇すると言ってきたが、今でも埋蔵量は増えているらしい。 今や地球温暖化の観点からは敵視されている化石燃料。 ウォール・ストリート・ジャーナルでは、フォードでエンジン開発をしていた技術者の話を載せていた。 今までは花形だったエンジンが、今や消え去る運命だという。 問題は、それがいつ起こるかだ。 欧州を中心とするCO2削減論者は、規制を作ってエンジン車を排斥しようとしている。 もう20年ほどしたら、エンジンのみで走るクルマはほとんど売れなくなる予定だ。 しかし、一方でEV化のネックはリチウム電池。 この原料が枯渇するというバンク・オブ・アメリカの調査結果もある。 規制が実際に施行されるかは、この1点にかかっている。 それを見切り発車せざるを得ないほど、アメリカの一部や欧州はハイブリッドを作る気がない様に見える。 中国はこの新しい分野でイニシアチブを取ろうとしている。 そのために、安価なEVも作っている。 欧州のフォルクスワーゲンもディーゼルで失敗し、今はEVに走っているようだ。 エンジン工場をバッテリー工場に作り変えているらしい。 自動車労組はエンジンを残そうと働きかけているらしいが、どこまで頑張れるか…。 現在の世界の自動車販売に占めるEVの割合は5%以下。 それでも、メルセデス・ベンツは2030年までにEVに全面移行する準備を進めているという。 新しいガソリンエンジンを開発するつもりはないとも言っている。 すでに、VWやGM、フォードなどの大手メーカーは従来のエンジニアを削減し、ソフトウエア開発や電気の知識を持った人を雇い入れているらしい。 先日、ホンダもそういう方針を発表したばかり。 それを反映して、過去数十年で世界のメーカーは20〜70種類の新型エンジンを投入してきたが、今年は10種類以下。 それでも、ガソリンエンジン車はまだまだ販売される。 EVにはインフラも必要だからだ。 遠出を考えると、充電ステーションは必須。 家で充電するにしても、世界中の車がEVになったらその電気の使用量は膨大だ。 それらは、CO2削減の観点からは原子力か再エネで作らないといけない。 次世代の原子力発電の設備にも日本は積極的に参加すべきだろう。 環境原理主義の人たちは、原子力を目の敵にするが、CO2削減を言うのならまずは原子力だと思う。 そこにトヨタの社長の嘆きの一部もあるのだろう。 スウェーデンやフランスのように、原子力発電をメインにしている国に工場を作るほうが、トータルのエネルギーに対して発生するCO2が少なくなるに決まっている。 もちろん再エネの技術開発はやるべきだが、まだまだ課題が多すぎて、実用化には遠いと思う。 実際、このままのペースでEV化が進めば、2026年以降はバッテリーが入手困難になるという予想もある。 そうなると、ハイブリッドは捨てられない。 つなぎの車としてPHVが有望になる。 外部からの充電もできるし、いざとなればエンジンで電気を作って自走もできるのだ。 ついでに言えば、日本の出すCO2は世界の3%。 CO2削減の限界費用は最も高いと言われている。 何もしないでいいとは言わないが、日本は他国への技術供与で貢献すべきだと思う。 すでに省エネになっているのだから。 話がそれたが、EV化については本当に悩ましいと思う。 もっとバランスがとれた議論が必要だろう。 業界内の人たちはもっと悩んでいると思うが…。 |
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