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2021.07.14 Wednesday
不安ビジネス
最近テレビで大雨などがあると「観測史上初の雨量」などと報道される。
それだけ聞いていると、なんだかそういう大雨が増えているという気になる。 エライコッチャと思って調べてみると、昔の記事にこういう事が書いてあった。 「実は、気象庁の定義する「観測史上初」とは、その観測所で観測を開始して初めて出た観測値のことをいいます。日本にはアメダスなどの観測所が全国で約1300カ所ありますし、観測項目も最高気温、最低気温だけではなく、雨量や積雪深など、たくさんあります。」 そういうことか。 観測史上初というのは、その場所で初めて、ということだ。 雨量が観測史上初、というわけではない。 よく考えたら、そんなことはそうそう起こるはずもない。 考えたらわかるのだが、ぼーっとテレビを見ていて「観測史上初」という言葉が出ると、それはエライことだ、と思ってしまう。 もちろん、その観測所では史上初なのだから、ニュース自体は正しい。 しかし、今までそういう言葉をあまり聞いていないのに、どうしてこうなったのだろうか。 最近、災害が増えていることもあるだろう。 その注意喚起としてはいいかもしれない。 きっとそういう意味で報道し始めたのだろうと思う。 マスコミとして、人々の災害に対する注意を喚起するという役割はあってしかるべきだからだ。 しかし、コロナのニュースを見ていると、最近のマスコミは注意を喚起するというよりも、恐怖を煽っていると言っていいレベルだと思う。 シンガポールやイギリスは政府がもうコロナは普通の感染症として共存しよう、ということを宣言した。 アメリカも実質的にはワクチン接種が進み、大リーグのゲームなどを見ていると、通常に戻っている感じだ。 おそらく、イギリスやアメリカから見たら、日本の感染者数や死者数ならオリンピックを無観客でやるなど、信じられないというレベルだろう。 しかし、世論は無観客を支持しているようだし、それを招いたのはマスコミの報道だと思う。 まるで、人々の不安をかきたてる「不安ビジネス」という感じがする。 折しも、「「毎日テレビを見るの老人ばかり」キー局が冷や汗をかく"テレビ離れ"の最新データ 衝撃「若者の半分はテレビを見ない」」という記事が出た。 それによると「毎日テレビを見る人は8割を切り、10代・20代の半数がテレビを見なくなった」ということだ。 毎日少しでもテレビを見る割合が9割を超えたのは、60代、70代だけという結果。 逆に10代、20代はほぼ半数がテレビを全く見ない。 ここ数年での変化が大きく、要はテレビ離れが若い人を中心に加速している。 たしかに、コロナ禍以来、ぼくもYoutubeの視聴は増えた。 この事とテレビが「不安ビジネス」に走ることは関係があるのだろう。 少しでも視聴者をテレビに引きつけたいという意図がありありとわかる。 午前中のワイドショーなどがその好例だ。 要は人々の不安を煽るしか、視聴率を上げる手立てがないということだ。 魅力あるコンテンツを作れない。 だから、イージーに不安ビジネスに走る。 今回の朝ドラでも、東北の震災の津波を何度も思い出させるようなストーリーで、もう10年も経つのに、不幸の再生産をしていると思う。 わざわざ、それをストーリーに入れなくてもいいはず。 でも、それはテレビの自殺行為だろう。 いつまでも地上波テレビというビジネスモデルにこだわって、不安を煽るだけのビジネスをやっていては間違いなくみんなから見放される日が来る。 「観測史上最高」もその証拠だと思う。 |
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