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2021.03.01 Monday
最後の春休み
春休みがなくなって、もう四十数年。
大学に関わるようになってから、春休みがまた巡ってくるようになった。 春休みというと、やはり切ない気分。 別れを告げないといけないからだ。 この季節になると、「最後の春休み」が聞きたくなる。 もうすぐ別の道を歩き 思い出してもくれないの 一番思い出に残るのは、やはり大学4年の最後の春休み。 ぼくは卒業式にも出なかったし、下宿の近所の友だちとも、正式に挨拶を交わしたわけではなかった。 それでも、4年間入り浸った落語研究会の誰もいないBOXに行って、中に入ったこと、そしてその時の空がとても青かったのは覚えている。 入学式もあまり記憶にないし、卒業式にも出なかったような者が、大学に関わる仕事をするとは思わなかった。 まあ、ほとんど授業にも行ってなかったのだから、いい加減な学生だった。 いまだになんで卒業できたのかと思う。 この季節になると、毎年人通りの絶えた廊下を見ていて、そういうことを思い出す。 これも学校に勤めたものの特権かもしれない。 歳を取ると、そういう切ない思いをすることがなくなるから、こういうのは貴重だ。 そういう記憶が、心の老化を防ぐように思う。 だからユーミンのベストワンは「最後の春休み」。 どうということのない曲だ、という人も多いだろう。 今日のレッスンでこの曲のコード進行について聞いた。 メロディーだけ聞いているとそうでもないが、バックのコード進行は結構凝っている。 聞いてみると、サビのところの半音でベースが下がっていくC#m7-5-CM7-Bm7-Bbdim-Am7というところなど、なかなか良くできているとのこと。 そうだったのか。 そんなに凝ったコード進行だとは思わなかった。 ぼくにとっては、春休みの瞬間の思いを切り取った一枚の写真のような曲だ。 「ひっそりとした 長い廊下を 歩いていたら泣きたくなった」 きっとユーミンも最後の春休みに学校に行ったのだとぼくは思う。 そうでないと、この歌詞は書けない。 初めて聞いてからおおかた40年くらい経つ。 学校に関わるようになって、この曲の良さがわかった。 |
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