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2020.12.20 Sunday
科学的常識
有名な新聞社の元主筆という人が雑誌にコロナの記事を書いている。
主筆というのは「記者の首席として重要な論説や記事を書く人」という定義。 要は「重要な」ことが書ける人ということだろう。 その重要な人が記事の中で言っていることに驚いた。 「東アジアは感染者、死者数を相当程度抑え込んでいるのに対し、欧米は東アジアの50倍から100倍も多い。」 この人の科学的常識を疑わざるを得ない。 本気で「東アジアはコロナの死者数を抑え込んでいる」と思っているのだろうか。 東アジアを大ぐくりに見ると、欧米に対して少なくとも公衆衛生面で勝っている、ということは無いように思う。 同等程度の国はあるものの、どちらかというとGDPが低めで公衆衛生という面では厳しい国も多い。 そういう国々を十把一絡げにして、どうやって「抑え込んだ」と言えるのか。 こういうふうに考えるから、「2週間後は欧米のようになる」という発想になるのかと思う。 科学的常識で考えれば、何らかの原因で東アジアの人々は欧米と違ってコロナにかかりにくい、と思うのが普通だとぼくは思っていた。 でも、これだけのエライ人でもそうは思わず、「抑え込んでいる」と考えるのだからマスコミには科学的常識はないのだろう。 平均年齢が若く、死亡者が少ないだろうという推定はつくが、感染者も「抑え込んでいる」というのなら、どんな抑え込みをしたのか、明確にすべきだ。 それもなく、単なる印象で書いているとしたら、おバカとしか言いようがない。 東アジアの国々が、欧米より厳しい「抑え込み」をやったというのは一部を除いてぼくは知らない。 そんな事実はないと思う。 ネット上では明らかに欧米よりもアジア、アフリカが死者が少ないのは地域の特性だろうという意見。 事実がないのにそういう印象操作をするから、日本でも締め付けを緩めたら抑え込めなくなる、という言い方。 危ない、危ないという方向だ。 結果として「東アジアは感染者も死者も少ない」というのならわかるが、「抑え込んでいる」という表現を意図的にやっているとしたら、悪意を感じる。 この人、免疫という言葉やその意味を知っているのだろうか。 主筆にして、このレベル。 情けないことだ。 |
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