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2020.08.20 Thursday
忘られぬ
歳をとって、いよいよ思うことがある。
池波正太郎の「剣客商売」の主人公、秋山小兵衛の言葉。 「肝心なことはすぐに忘れ、忘れてしまいたいことはいつまでも忘られぬ」 歳をとると、時間の密度が薄くなる。 どうでもいい時間が増える。 そういう時に、どうしていいことは思い出さないのだろうか。 なぜか、思い出すのは、悪いことばかり。 悪いことといっても、まわりに迷惑をかけるようなものではなく、なぜか意に反したことを言ってしまったとか、してしまったとか、まわりの人たちはあまり気にとめないようなものが多いと思う。 時々、そういうことを思い出して、思わず声が出そうになる。 いいこともたくさんしてきたはずなのに、「思い起こせば、恥ずかしきことの数々」という、「男はつらいよ」のエンディングによく出てくる気分になる。 自分の中で、そういう恥ずかしかったり、失敗したと思えたりするエピソードと結びついた記憶は、死ぬまで忘れられないように思える。 いつもいつも思い出すわけではない。 そんなことばかりしていたら、やってられないだろう。 密度が薄くなった時に、ふっと思い出す。 これが厄介だ。 調べたら、冒頭の言葉も過去に1回書いていた。 書いたことも忘れているのだ… |
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