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2019.10.29 Tuesday
入試制度の悪影響
文科省はセンター入試を改革しようとしている。
まあ、それはそれでやってもらったらいいのだが、その試験を受けない人が増えているのにはどう対処するのだろう。 当初、この試験は高校卒業程度の資格を与える試験という意味合いも持たせよう、という議論はあったはず。 それはどこかに行ってしまった。 こないだの日経を見ていたら、高校2年制の3割は宿題をのぞく1日の勉強時間がゼロ、という記事があった。 就職希望者の6割近くは、休日に授業の予習や復習を全くしなかった、ということだ。 調べてみると、高校を卒業して就職をしたものが18万人。 卒業生全体は108万人だから、17%が就職希望と考えると、その6割は全体の1割程度。 まるで就職をした人が勉強をしないような記事だが、全体の3割の全く勉強をしない人たちのうち、2/3は就職希望ではないのだ。 世の中の人はあまり知らないかもしれないが、昭和の感覚で入試を考えてはいけない。 あくまで昭和の入試というのは、今の「一般入試」に当たる。 国公立は推薦、AOという一般入試以外の入学者は1割以下から2割程度だが、私学ではそんなことはない。 一般入試を受けているのは、早慶、MARCHでも6割以下。関関同立や産近甲龍で4割から5割台がほとんど。 関西の私大でいうと、一般入試を受けて入る学生はが半分以上のところはほとんどない。 780校ある大学で、半分の390校は45%以下になる。 ぼくのいた大学は現在35%程度。 当然、それらの一般入試で入ってきた学生と、推薦、AOで入ってきた学生は学力の差があることが多い。 もちろん、一般入試といっても、センター入試を利用しているわけではない。 下位の大学ではほとんどセンターなど利用する志願者はいないのが実情。 ぼくが学校法人に行った2004年でも、これが原因の学力の2極化問題はあった。 だから、入ってすぐに英語などはプレースメントテストをやらないといけないのだ。 入試を受ける人が半分以下だから、受けてない人は英語の実力などわからない。 間違って、下のクラスに入ったら、間違いなくやる気がなくなる。 それが早期退学の引き金になるから、学校も対応をする。 この記事の見出しには「高2の3割、1日の勉強時間ゼロ 宿題除く 希望進路で差」と書いてあるが、これはウソだと思う。 今の入試制度が、この状況を作り出しているのだ。 その比率を決めているのは文科省。 4年制大学では、推薦入試は半分以下、という規制がある。 どういうわけかAO入試は一般入試ということになっており、結局半分以上は一般入試、という枠はないも同然になってしまった。 そのことは文科省はわかっているはず。 センター入試の改革もやってもらったらいいと思うが、この大学入試の状況はもっと深刻だ。 多様性を求める、などという言葉に騙されて、教育システムが成り立たないようなレンジの学生が入ってくる。 そっちの改革もやってほしい。 |
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