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2019.10.27 Sunday
お坊さん便撤退
アマゾンの「お坊さん便」については一度書いた。
この「葬儀の時に、定額でお坊さんを派遣してくれる」というサービスがアマゾンでは中止になったという記事があった。 「お坊さん便」を扱っている「よりそう」という会社が撤退を発表したらしい。 仏教界と「宗教者や宗教行事をECサイト上で商品として扱うこと」でもめていたが、その決着がついたということか。 ただ、アマゾンに出品するのをやめただけで、同種の「僧侶派遣業」は10社以上できている。 大手ではDMM.comグループなどだ。 記事によると、僧侶に対する説明会も盛況らしい。 自社が取るマージンが他社より低いから、うちと登録してくれ、というような内容。 実際に複数社に登録する僧侶もいるという。 現状では登録時の審査がいいかげんで、トラブルも多いようだが、それだけ会社ができているということはニーズがあるということだ。 特にネットで僧侶派遣をしてくれるところは便利だ。 そのサイトで決済もするから、葬儀のときだけ頼めばいい。 そもそも、最近は無宗教の葬儀も増えていると思う。 核家族化が進んで「家」の概念がどんどん薄れていく。 そうなると、仏壇はジャマだから置かないとか、家の宗教がわからないとかいう家庭が出てくる。 ぼくが死ぬ頃には、家には仏壇などなくなり、法事も廃れているだろう。 墓は残るかもしれないが、今の墓地だって金を払わなければ無縁仏になっていくのだし、死にゆく人の自己満足みたいなものだろう。 ろくにお経も読めない僧侶も登録されているらしいが、そういう僧侶ができてくること自体が仏教の衰退を表している。 まともな宗教活動をしていないから、当然といえば当然。 地域の活動も低調だし、昔からの檀家を守ることしかしない。 それもこれも、読経や戒名でお金を取るという「葬式仏教」に成り下がってしまったからだろう。 普段からの寄進がなく、葬式の時に儲けるというシステムが間違っている。 お寺が自ら仏教を崩壊させたのだと思う。 外国人に「宗教は何か」と聞かれたら「仏教」と答えるが、実際お経も詠んだことがなければ、お寺に行くこともない。 ぼくは日本人は無宗教だとは思わないが、仏教徒だとも思わない。 どちらかというと、日本土着の神道の方が馴染みがある。 「神さま、仏さま」というように、やっぱり「神さま」が上だ。 「お天道様は見ている」という価値観。 「悪いことをしたら、地獄に落ちる」という価値観。 ブッダが説いた教義はスゴイものなのだろう。 しかし、ぼくはそんな小難しい教義などどうでもいい。 伝統的な葬儀をする時に、僧侶がお経を詠んでくれさえすればいい、ということだ。 ネット派遣は何より、料金がはっきりしているのが好まれている。 今や僧侶派遣はビジネスであり、それが明確になっただけのことだ。 そう思っている人たちがどんどん増えている、ということだろう。 それに対して、仏教界は「宗教を商品にしている」と文句を言う。 「諸外国を見ても、そんなことを商品にしている国はない」というが、それが商品として成り立つのは、すでに仏教が「宗教」と思われていない証拠だ。 お坊さん便をやっていた会社も、アマゾンでの取り扱いは撤退するが、自社サイトでコールセンターを使ってより丁寧な対応をする、ということだ。 仏教界がアマゾンからの撤退を喜んでいるというが、それは大きなことではない。 自分たちが仏教を宗教だと思っていないからだろう。 ぼくは学校法人に勤めていた時、多くの仏教関係者が働いていたが、彼らを見ていてそう思う。 自業自得なのだ。 |
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