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2019.08.11 Sunday
死の形
海外の警察ドラマを見ていたら、”suspicious death”という言葉が出てきた。
字幕を見ると「不審死」とある。 なるほど、不審死は英語で「疑わしい死」というのか。 不審死の対義語は自然死や病死だろうか。 死ぬ原因が老衰や病気なら、これは不審ではない。 原因がわからず亡くなった、という場合は「疑わしい死」ということだ。 病気で死んでも、自宅で一人で亡くなったら日本では不審死になる。 それまでどこかで医者にかかっていないといけない。 継続的に診ていた医者が死亡診断書を書けば、不審死ではなくなる。 でも、高齢化が進むと不審死も増えてくるだろう。 孤独死というやつだ。 少子高齢化というのは多死社会ということでもある。 たくさんの人が死んでいく社会だ。 これからは生まれる人よりも死ぬ人のほうが増える。 死の形も変わっていくだろう。 今の流行りは葬儀場の小型化だ。 大きなホールでやるよりも、小さな会場で家族葬という人が増えている。 死者が望んだのか、家族が望んだのかはわからない。 長生きすると、最期の時期は出歩けなくなるし、社会ともだんだんと切れていくから、葬儀に出席したい人が減る。 さらに物理的に葬儀に出席できる人が減る。 結局は家族や親戚、ごく近しい人だけということになる。 だから、こじんまりした家族葬でいい。 葬儀のビジネスは、まだまだいろんなアイデアが出てくると思う。 ブライダルは学生の人気の就職先だが、これからは葬儀の時代。 知り合いのカウンセラーは、いつか葬儀のコーディターネーをやりたいと言っていた。 終活から葬儀へと生前から相談にのる商売もアリだろう。 生前葬も増えると思う。 朝のドラマで松坂慶子がやっていた。 日本の仏教は葬式で金儲けをするシステムだが、これも廃れていくだろう。 戒名やお経に意味を見出す人が減ってくるからだ。 お寺は存続の危機が来ると思う。 今でもアマゾンで葬儀のときだけ4万5千円で坊主を雇う「お坊さん便」という仕組みがあるが、こういうのも増えてくるだろう。 少子高齢化というのは、形式的な伝統が消えていくということでもある。 普段縁のないお経や、死んでからの名前など、どうでもいいと思う人にとっては「お坊さん便」で十分だ。 それでも、何らかのセレモニーは必要とは思う。 新しいサービスが出てくるのを期待しよう。 |
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