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2019.05.02 Thursday
宇宙戦艦ヤマトの美学
昨日、WOWOWでやっていた「宇宙戦艦ヤマト2199」を録っておいて一気見した。
全7作で10時間ほど。 宇宙戦艦ヤマトというと、ぼくが大学を卒業する頃のアニメ。 基本的なストーリーは、ガミラスという異星人に地球が攻撃され、それを救うために宇宙戦艦ヤマトが、遥か遠くのイスカンダルという星まで行くというもの。 主人公の古代進と森雪という二人のロマンスもある。 ある意味、とてもセンチメンタルな物語だ。 この映画、できたときから明らかに日本海軍を意識した映画だった。 宇宙戦艦ヤマトという名前も、戦艦大和から来ているし、ガミラスに攻撃されてもうダメだ、というときに出撃する、というシチュエーションも第二次大戦の末期に大和がダメモトで出撃したという事実に似ている。 宇宙を海にたとえて、宇宙船がやられると画面下の方に沈んでいくという模写もある。 宇宙の物理を無視している。 だいたい、あの格好が不合理だ。 ガミラスの宇宙船のほうがモダンで機能的。 ヤマトは艦上に砲塔がいくつもあって、大気中では抵抗が大きい。 操縦時も「取り舵」や「面舵」という言葉が使われているし、上官に対する言葉遣いも軍隊言葉。 艦長の沖田十三も、バルチック艦隊を破った東郷平八郎という感じ。 よく「戦争反対」と言っている人たちが文句を言わないなあ、と思っていた。 この物語の主題は、戦争の中での軍人の絆みたいなものだ。 よくアメリカの映画やドラマで海兵隊が出てくるが、あの忠誠心だろう。 戦時中はお国のためだったが、ヤマトでは地球のために命をかける。 ヤマトが旅立つために、いろんな国から電気が送られてようやく出発する。 登場人物はみんな日本人。 「2199」ではメーターにも漢字が頻出する。 日本の技術が世界を救う、という設定もひそかにウケたのだろう。 3Dを多用して、戦闘シーンは迫力がある。 乗組員のバラエティが増えて、反乱があったり、ガミラスの方でも内乱があったりして、以前のものより人間模様は複雑になった。 ジェンダーバランスも考慮して、女性がすごく増えたのも現代的。 たとえ敵同士であっても、尊敬できる軍人には敬意をもって接するところなどは以前と同じ。 まっとうな軍人賛美という感じだ。 主要な登場人物は死なない。 以前は何人か死んでいたと思う。 そういう意味ではハッピーエンド志向だ。 でも、この映画が何度も作り直されるというのは、やっぱりぼくら昭和の日本人の琴線に触れるところがあるからだろう。 誰かのために、命をかけて戦う、という美学。 今の平和はそういう人たちの犠牲の上に成り立っている。 そういう気持ちが心の中にあるから、いつまでも人気があるのだろう。 次は「2022」を録る。 |
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