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2019.04.07 Sunday
フェアプレー
だいぶ前に高校野球で「隠し玉」をやって、話題になったことがある。
隠し玉とは、ランナーが出たときに、野手がボールを隠して、いかにもピッチャーに返したというふうなフリをして、ランナーが油断して塁を離れたときにタッチする、というプレーだ。 これを高校野球の大会でやって、ランナーはアウトになった。 このときは、高校野球は若者のスポーツだから正々堂々とやるべきだ、というような話になったと思う。 どちらかというと、隠し玉をした方を責める風潮だった。 その時に、まだ現役だった上岡龍太郎が「フェアプレーというのは、ルールに則ってやるということで、隠し玉はルール内だから全く問題ない。それこそが、スポーツマンシップというものだ。」と言ったことを思い出す。 事前のルールを守ることが、スポーツにおけるフェア、ということだった。 今回の選抜高校野球で、今度は「サイン盗み」のクレームがあった。 ランナーが2塁に出た時に、キャッチャーのサインを盗み見て、ランナーに伝えるというもの。 99年にそれが問題になり、高野連がルールを改定して「禁止」になったとのこと。 ただ、罰則はなく、紳士協定みたいなものだ。 この辺が中途半端。 2塁ランナーの動きで、サインを打者に伝える方法はいくらでもある。 離塁の仕方とか、手の位置とか、それらを組み合わせるとか、その気になればいくらでもごまかせるのだ。 実際、「サイン盗み」は「やったもの勝ち」という人もいる。 高野連もルールは定めたものの、運用が難しいということはわかっているのだろう。 だからこそ、罰則もつけなかった。 今回、高野連は試合後の抗議はノーサイドということで、抗議した方を注意したらしい。 高野連は高校野球は高校生が正々堂々とやるものだ、という幻想を維持しようとしている。 しかし、最近の高校野球を見ていると、野球留学については黙認し、出来て数年の野球部が初出場できたりする。 高校野球がビジネス化しているのだ。 それは仕方のないことだ。 ルールの範囲内なら、何をやっても構わない。 それなら、サイン盗みの禁止などやめるべきだ。 サイン盗み対策をバッテリーがやればいい。 実際、2塁にランナーが出たら、サインを変えている学校もあるのだから。 高校野球を野球ビジネスと捉えて、きれいごとの正義など捨てればいい。 その代り、選手の学業成績をチェックし、野球バカ一辺倒にならないようにして選手の将来のことも考えたり、投手の投げ過ぎをルールで制限するなど、ビジネスとしての野球の発展を目指すべきだ。 高野連は一旦解体して、新しい組織を作るほうがよほどフェアになると思う。 |
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