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2019.03.28 Thursday
声のトーン
最新の脳科学の研究結果では、「声の中の「感情的な要素」は、聞き手の脳のリラックスと健康にとって重要である」という。
要するに、声のトーンはとても重要だ、ということだ。 脳は声を聞いただけで、明るさや元気さを判別できる。 その人の声を初めて聞いたとしても、ある程度そういう判断がつくのだ。 絶対的な声の高さではない。 その人の声の範囲で、高めで大きめの声かどうかだ。 脳はそのあたりの判断を一瞬でできる。 亡くなった落語家の桂枝雀も「声のトーン」は大事だと言っていた。 なかでも「スレ声」とか「かすれ声」というのが特徴的。 それらを意識して使い分けることで、笑いを取っていた。 面接の時に部屋に入るときの第一声は、声のトーンを上げよう、と注意する。 店でアルバイトをしている学生には「いらっしゃいませ」の声だ、と説明。 バイトをやっている学生にはそれでわかる。 だいぶ長いこと面接の練習もやっているが、声のトーンに気をつけている学生は少ない。 普通の声でいいと思っているか、意識していないか、どちらか。 これは大事というと、ふーん、という顔をする。 ただ、難しいのはあまりにもわざとらしい声になると、嫌がる場合もあるということだ。 脳はそんなところまで判定できる。 どこのシナプスがつながったら、そういう判断ができるのはわからないが、初対面でそういう判断ができるのは、大したものだ。 人間の声は物理的には空気の振動。 それを鼓膜の振動に変えて、脳に伝える。 その途中でどういう分析をしているのか。 きっと表情や姿勢も総合的に判断しているのだろう。 それらによって、その人の標準的な声というのが、推定されているとしか思えない。 人間が当たり前にできることが、コンピューターには難しいというのはこういうことだろう。 声の周波数分析をしても、なかなかわからない。 表情とか、体格とか、いろいろと他の情報も手助けしているように思う。 それがAIにできるようになったら、ある程度判定も信頼できそうだ。 でも、まだまだ遠いだろうなあ。 |
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