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2019.02.28 Thursday
損益算
大学生に数学(算数)を教えているのだが、彼らが不得意なのは「割合」。
分数に始まって、割合の概念が抜け落ちている。 小学校の4年くらいから習うはずなのだが…。 これがわからないと、その後は単元によっては全くわからなくなる。 割合が難しいのは、そこから抽象的な概念を扱うからだろう。 それまでは、四則演算であり、目で見て触れるものを扱う。 きっと割合で躓く人が多いのは、そこまでと違うからだ。 昔はそれをドリルでカバーしていた。 理屈よりも、身体で覚えるということだ。 何度もドリルをすることで、いつかわかるようになるのだ。 今はドリルよりも、まず理屈だ。 学習指導要領では、理屈をどう教えるかというところが大事ということになっている。 それをしたら、ドリルはあまりしない。 その他のくだらない科目が増えたからだろう。 でも、その時理屈がわかったと思っても、うわべだけだ。 その証拠に、大学生になって、割合がわからない学生がいかに多いことか…。 割合の中でも、就職筆記試験でよく出るのが損益算というやつ。 原価、定価、売価、利益率、値引率、利益というような言葉が出てくる。 実生活でも役に立つし、ビジネスの基礎みたいなものだ。 だから、一般常識としてもよく出題される。 ものの値段がオープン価格になって、定価がなくなり、よけいにわかりにくくなったのもある。 大きな企業ではパズルのような「推論」もよく出題されるのだが、それよりも割合の概念を知ることが、社会に出るうえで大事だと思う。 「割合」や「比率」ということを知らずに生きていくことは、もったいないとも思う。 それこそ、民主主義を支える上で必要な「知識」だろう。 経団連会長が言った、文系にも数学を教えるべきという事の基本だ。(経団連はもっと上のレベルを考えているとは思うが…) とはいうものの、言うは易く行うは難しとはこの事。 なかなかそれをうまく教えることができない。 分数がわからないところからやらないといけなかったり、%や歩合からやらないといけなかったりする。 分数、小数、%、割の対応表を埋めさせたりして、1/2と0.5、50%、5割は同じものというところから始める。 これができないと重症だ。 さらに、原価、定価、売価などという言葉の意味。 一番難しいのが「利益」。売上と利益を混同している学生が多い。 売って得たお金が利益だという。 それは何度も「どうして最後に原価を引くのか?」という質問が出たことからわかった。 ぼくにとっては盲点だったが、そこで躓いている学生も多かったのだ。 今年の冬の講座は、非言語の講座を学習塾の先生に頼んだのだが、その先生のやり方は参考になった。 表を書く、というものだ。 文章題が苦手な学生は多いが、それは文章から式までの流れができないからだ。 本來は文章をイメージして、書いてあることを式にするのが普通なのだが、そこでも躓く。 だから、損益算の問題をみたらまず表を書くという作業をする。 原価、定価、売価、利益=売価−原価、という表を作る。 それで、表の中に文章に書いてある情報を埋めていくというもの。 文章の中のどの部分に着目したらいいのか、わからないから、式ができない。 それを表にして、書き出すようにしてやれば、やりやすいということだ。 この方式はあるレベルまで来ている学生には効果がある。 どうしたらいいか、わからない状態から、表を埋めるという作業ができる、という状態に変わる。 そうしているうちに、解けるようになっている。 これを続けることで、本当の意味が「わかる」ようになると思う。 やっと半歩ほど進んだ。 |
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