考えたこと2

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日本の博士
日本の博士(ドクター)は、大学院重点化以降課、人数が増えた。

大学院重点化とは1991年に大学の設置基準の大綱化に続いて、翌1992年に行われたとされる。

これは「一般的には、大学の教育研究組織を従来の学部を基礎とした組織から大学院を中心とした組織に変更することを指す。」とWikipediaには書いてある。
しかし、多くの人が、ぶっちゃけて言うと、この重点化は、大学院生を増やすという事意外にビジョンがなく、たくさんの大学で1992年以降、教育体制は変わらないまま大学院が粗製乱造され、大学の学部は大学院の付け足しみたいな存在になり、学部の空洞化を招いたという人もいる。

亡くなった秋田国際教養大の中嶋学長はコラムの中でこう書いている。

「理想の大学の在り方とは学部で十分な外国語運用能力と教養教育を身につけ、大学院で専門的知識を突き詰めることだと思っております。ですので、大学院重点化によって研究者の養成や大学院を学術研究推進の中核と位置付けるという期待が持てたはずです。

ところが、学内措置として教員の所属を大学院に変えただけの学部や研究科も見られ、本来の意味の重点化にはつながらないどころか、学生の質の低下につながる結果となりました。前述のとおり学部は空洞化して、教員は大学院に籍を移してしまった。国立大学の場合は大学院に籍を移すと手当が数%増えるということも相まって、教員は挙って院に移ろうとしたのでした。学部へは大学院から教員が出向していくような形になってしまった。」

当然、空洞化した学部では良い教育ができないから、大学院のレベルも下がらざるを得ない。
そして大学院の博士課程も同じこと。
これが大量の博士が職を得ることができない、という現状につながっている。
今回の早稲田の小保方さんの問題で、この問題がちょっとマシになることを祈るのだが…。

ぼくは何人かの博士を見てきたが、日本の博士と海外の博士はだいぶ違うと言わざるを得ない。(もちろん、素晴らしい人もいるのだが…)

何というか、ぼくが見てきた日本の博士はひと言でいうと、「頼りない」のだ。
自分の専門領域のことだけをやりたい、という感じ。
仕事というのは、時によっては、成り行きでどんどん範囲が広がっていくものだ。
そうなった時に、すぐに「ここまではわかりますが、ここからは範囲外」というような線を引く。
博士なら、自分の専門領域をちょっと外れても、常識を持って判断できるのではないか、とぼくらは思う。
しかし、どうもそうではない人が多かった。

一方、海外の博士はスゴイと思った。
どれだけの比率で博士になるのかはよくわからないが、経営陣が博士だったりする。
もちろん、ぼくの知っている人たちだから、工学系の博士だ。
分からないことは聞いて、それをすぐに理解して、表を作ったりできる。
ああ、この人カシコイなあ、と思うような人たちが博士になっている。
当然、味方にすれば「頼りになる」のだ。
彼らが異国人だったから、そう思うのかもしれないが…。

近頃はなんと年に1万6千人も博士が増えているそうだ。
この数は90年の5割増し。
まあ、こんな人が博士?と言いたくなるような人も出てくるだろうなあ。

どこが違うのか、というと、やっぱり一般教養だろうなあ。
自分の専門外のことでもよく知っているからこそ、「頼りになる」のだろう。

大学でいうと、一般教養というのはリベラル・アーツと呼ばれる。
ここが弱いのがどうしようもない。

通常の大学では、一般教養はパンキョーと呼ばれ(蔑視の言葉だと思う)、専門の先生方からは疎外される。
予算等も潤沢には使えないだろう。

ぼくは今の高校以下、義務教育の状況や大学入試のことを考えると、一般教養こそ大事だと思う。
実際、前出の故中嶋学長がいた秋田国際教養大などはリベラル・アーツに力を入れて、成功している。
そういう成功例は少ないながらもあるのだ。

でも、それを実行できない大学がほとんどだ。

大多数の教員が、自分の教えている科目に執着するのが根本原因だと思う。
博士問題と同じように、自分の専門にこだわる人が多いと思う。

根は同じところにあるのかもしれない。

だから、博士の就職難の問題も、多くの場合、その人たちを教えている先生を変えないと難しいと思う。


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