考えたこと2

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科学リテラシー
伝統的な力学は、主にニュートンから始まったのだが、目の前で起こっている現象を解明するのに役立つ。
だから、力学といえば、ニュートン力学だと思っていた。
それは今の理系の中年以上の人たちの常識だろう。
ぼくらの学生時代には、もう量子力学はあったが、それはまだ「なんだかわからないもの」だった。

時代は変わって現在。
山口栄一という人が「死ぬまでに学びたい5つの物理学」という本を書いている。
その中で、こんなことを言っている。

「教授会で文系の教員と話して愕然(がくぜん)としました。私が「経営で技術を教えるなら科学を教えなければいけないし、科学を教えるなら柱となる量子力学の思想は教えた方がいい」と話すと、みんな「えっ、量子力学? 現実世界とは全然関係ないじゃないか」と唖然(あぜん)としている。げらげら笑い出す経済学者もいました。」

恥ずかしながらぼくも量子力学については、現実世界とあまり関係がない、と思っていた。
一応何冊か本は読んだが、ほとんどわからない。直感的に理解ができないようなリクツなのだろう。
その結果、量子力学は、ミクロの世界の出来事を表すもので、ぼくらの住んでいる普通の世界には関係がない、と思っていた。
しかし、それは誤りだったようだ。

山口氏は書く。

「この人たちは携帯電話やパソコンをはじめ半導体などを扱うミクロの世界が量子力学に従って動いていることなど何も知らないのだということに気づいて愕然としたのです。私はそのときからイノベーション論を語る際には、並行して「科学の魂」、すなわち科学者たちがどうやって彼らの理論に行き着いたのかを語りたいと思っていました。それで「科学者の魂物語」を書いてみようと思ったのです。」

「この人たち」を何とかしないとイケナイ、ということだ。
量子力学そのものを理解しなくてもいいが、それがあるから、携帯電話が動いている、ということは知っておいたほうがいい。

科学リテラシーがないと、いろんな問題が起こる。

福島の原発の事故の問題も、リテラシー不足が原因だという。
ただひとつ、原子炉内の水位を保つことだ。
それが経営陣の反対で出来なかった。

「せめて東電の経営陣が、原子炉は物理法則に基づく物理限界を超えた瞬間、コントロール不能になるということをきちんと知っていればよかったと思います。それは経営上も一番重要なことでしょう。経営者が海水注入を拒んだのは科学リテラシーが欠如しているからで、そこが問題です。」

福知山線の事故にしても、経営者に科学リテラシーがあればあのカーブは作らなかったということだ。

残念ながら日本の閣僚に理系出身者はほとんどいない。
理系出身者はそんな職業に就きたがらない、ということもあるんだろうが…。
そんなワケで、文系であっても、理系であっても、科学リテラシーは必要だ。
ぼくもそう思う。
文系の入試から数学や理科をなくしてしまったのは大きな間違いだ。
理系の入試からも地理や歴史をなくしたのも間違いだが…。

現在、高校の卒業程度の試験をセンター試験に変えて作ろうとしているが、それで文理すべてを網羅するような知識を問うようになればいいと思う。

理科離れと言われ、科学リテラシーがないと言われ、今どんどんそういう人が増えている。
知らないものは怖いから止めよう、というような短絡的な思考に走ったりすることもある。

人間は感情の生き物であると同時に、理性の生き物でもある。
感情に理性のブレーキを効かせるためには、それらの知識をつけなければならない。

それは無謀な戦争をした反省でもある。


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