考えたこと2

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国家的詐欺
庄司雅彦という弁護士が、ブログで「法科大学院は国家的詐欺」という記事を書いていた。
当時文科省や法務省が、「卒業者の7割が法曹になれる」と言っていたということに対して、知人が文句を言っていたとのこと。
その当時、名も知らぬ大学まで法科大学院を設立したことを知った弁護士たちは、「7割は絶対にありえない。7割も通したら司法修習ができない」と判断していたらしい。

もともと、国内に弁護士の需要があったわけではなく、アメリカなどの外圧で弁護士を増やすことありきでやったことだろう。
だから、実需が増えるわけがない。
日本みたいな単一民族社会では、なんでも訴訟するような文化は合わない。
そういう意味では、もともと半信半疑で始まったのだ。

文化系の資格で最も難しいとされている、司法試験を通ってなっていた法曹の人たち。
その人たちがレベルの低下を言わないはずもない。
そういう意味でも失敗の気配はあったのだと思う。

しかし、ぼくは一番の戦犯は文科省の口車に乗って、バカみたいに法科大学院を作った大学だと思う。
法曹になるための最低限の知識や学力というのは、想定されていたんだろうか。
それを想定して、入試をやったのだろうか。
いくら多様な人材が法曹界に必要だといっても、最低限の知識を身につけるだけの能力は必要だ。

大学がいかに法科大学院バブルに乗ったかというと、14年前の創設時に68校が名乗りをあげた。
ピーク時には74校になり、入学定員は5825人。
74校というと、大学の約1割が法科大学院を作ったということだ。

しかし、8年ほど前に『法科大学院教育の質の向 上のための改善方策について』が出て、入学定員が減り始め、今は43校が2566人まで減ったとのこと。

この過程で募集停止をした大学は、 姫路獨協大、大宮法科大学院大、明治学院大、駿河台大、神戸学院大、東北学院大、大阪学院大、新潟大、信州大、島根大、香川大、鹿児島大、白鷗大、獨協大、大東文化大、東海大、関東学院大、龍谷大、広島修道大、久留米大、 静岡大、熊本大、國學院大、東洋大、神奈川大、山梨学院大、愛知学院大、中京大、京都産業大、成蹊大、名城大の31校。
募集停止予定が、北海学園大、青山学院大、立教大、桐蔭横浜大の4校。

一部の国立大を除けば、募集停止をしたところは偏差値の序列で3番手以降の学校。
おそらく、これらの学校法人は、文科省の発表を聞いて、これからの少子高齢化で学校の評判を上げるために法科大学院を作ろう、ということになったのだろう。

もちろん、新しい司法試験のレベルを想定して、合格するために最低限の学力を推定し、それで入試をしていれば、問題はなかったはず。
それでも、せっかく作った鳴り物入りの大学院だから、募集定員を切るわけにはいかない。
赤字になるからだ。
だから、想定していたかどうかはともかく、定員を満たすだけの志願者を入学させた。
教えるのは従来の教育を受けたきた教員。
基礎学力が足りない学生を教育する技術はない。
その結果、そういう大学は司法試験合格率が良くても10%台になった。
10%を切って、一桁の大学も30校以上。
やはり法曹の仕事をするのは、難しいのだ。

当初は司法試験は3回受けてダメだったら受験資格を失う、ということだったが、今は5回に緩和された。
それでも、なかなか通らない。
そのうえ弁護士が増えた結果、テレビで弁護士事務所の宣伝をするまでになったが、そのほとんどは「過払い金の請求」というような仕事だろう。
文科省の初期の狙いとはだいぶ違う。

これは法務省、文科省による国家的詐欺だというのはよくわかる。
でも、その片棒をかついのだは、法科大学院のバブルを作った学校法人だと思う。
法学部の先生たちは、自分たちの仕事を作ってくれたから、何も言わない。

本来なら、この「国家的詐欺」を糾弾するべきなのだが…。


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