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2018.01.28 Sunday
おばちゃんの決まり文句
「男はつらいよ」にはいろいろと決まったセリフがある。
最初の頃は、おいちゃんと寅次郎が喧嘩をして、「出て行け」というおいちゃんのセリフに、「それをいっちゃあおしまいよ」と返すやり取りがあった。 あのドラマの中で、寅次郎が毎回言うセリフ。 「労働者諸君!」と裏の印刷工場の工員に呼びかけるセリフ。 「そこが渡世人のつれえところよ」というテキ屋らしいセリフ。 「結構毛だらけ ネコはいだらけ お尻のまわりは…」という売り口上…。 でも、そういう有名なやり取りの他に、地味な一言もある。 それが、おばちゃんのいつものセリフ。 「あとで美味しいもの作ったげるからね」 どんなときでも、おばちゃんは優しい。 ドラえもんみたいなおばちゃんだが、寅次郎が帰ってきた時、ほぼ間違いなく声をかける。 寅次郎が沈んでいる時、疲れている時、そういう時に声をかける。 寅次郎の関係者が来ても、落ち込んでいたら必ず声をかける。 「あとで美味しいもの作ったげるからね」 たいがいは「芋の煮っころがし」だ。 おふくろの味、というやつ。 ハンバーグとか、ステーキとかいうものではない。 あの言葉を聞くと、いつものとら屋だと思う。 山田洋次監督の思いが、きっとあの言葉には入っているのだろう。 昭和のおふくろさんという感じ。 そういう声をかけられたら、嬉しいと監督は思っているはずだ。 「あとで美味しいもの作ったげるからね」 「男はつらいよ」に欠くことができない名セリフだ。 |
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