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2018.12.05 Wednesday
文系にも数学を
今の文系大学生で、数学が不得意な人の特徴は、数字そのものが嫌いだということだ。
見たとたん「嫌い」という気持ちが先に立つ。 だから、意味を考えることができない。 意味を考えたくないから、公式に頼る。 速度は「はじき」、割合は「もくわ」という具合。 「はじき」は「速さ、時間、距離」の関係を図で表すものだし、「もくわ」は「もとになる数、比べる数、割合」の関係を同じような図で表すものだ。 学校でわからなくて、塾でそういうのを習ったという学生もいる。 文系大学生が不得意な速度の問題など、意味を考えたらそんなに難しくない。 速度とは、単位時間に進む距離のことだ。 そんなことは当たり前だと笑うことなかれ。 それがわからないから、簡単な文章題が解けない。 円形の池の同じ場所から、反対に向いて2人の人がある速度で歩く。 出会うのは何分後かというような問題。 池の回りの距離はわかっているし、2人の速度も各々わかっている。 距離を、2人の速度の和で割るだけなのだが、それがわからない。 こちらは何がわからないのか、わからない。 速度の意味は、単位時間に進む距離のこと。 1時間に進む距離なら時速、1分間に進む距離なら分速という具合。 速度の問題がややこしいのは、計算の前処理や後処理。 時速を分速に直したり、逆に分速を時速にしたり、分を時間に直したり、時間を分に直したりという処理。 それが速度の問題のネック。 だから、公式を覚えていても、難しいのだ。 公式といっても、「はじき」という程度。 速さは距離÷時間、時間は距離÷速さ、距離は時間×速さという関係を絵にしたもの。 そんな子供だましの絵を覚えるくらいなら、速度は単位時間に進む距離のこと、とおぼえた方がマシだ。 損益算にしたって、定価、仕入れ値、売価、利益という言葉の定義がわからないのがネック。 要は小学校で「手でさわれないもの」を想像する訓練が足りないのだと思う。 定価や仕入れ値というのは、こういうものという定義はあるが、これが定価だ、というものは具体例しかない。 こちらは国語の問題。 仕入れて、売って、儲かるということがイメージできない。 だから、売上を利益だと勘違いする。 いったいどこで躓いたのだろうか。 10年ほど前に文系の大学生がそんな状態だと知った。 もちろん、みんながみんなではない。 それでも、相当数はいるだろう。 割合や速度の概念がわからない人がたくさんいる。 それをわかっている大学もたくさんある。 実際に、就職筆記試験でそういう問題が出されるが、それができないのだ。 それでも、それを放置している。 今日は文系の大学生にも数学を必須に、という経団連からの提言が正式に出た。 まことに正しい提言だと思う。 |
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