![]() |
2018.10.29 Monday
就活ルールと大学生の勉強
経団連の会長が就活ルールの廃止を決めた。
それに変わって、政府と大学が協議して新しいルールを決めることになる、とのこと。 この間、いろんなことが取り沙汰された。 「学生が混乱する」 「中小企業が採用しにくくなる」 というような声の中、「学生が勉強しなくなる」という声も出た。 これは、大学側が就活ルールがなくなると、採用活動が超早期化するので就活が長期化するとか、早々と内定してしまうとかいうことになり、学生が勉強をしなくなる、ということだと思う。 しかし、この理屈はおかしい。 勉強をするかしないかは、大学がどれだけやらせようとするかで決まるはず。 それなのに「勉強しなくなる」というのは、大学自身が就活は勉強より大事だ、と考えているということだ。 これはおかしくないか。 その証拠に、私立文系学部では4年次の必修の授業というのはない。 卒論ゼミだけが必修になっている。 さらに、ほとんどの私立文系では3年で120単位は取れるようになっている。 これも、4年生は就活で忙しいから、授業は3年で取れるように、ということの現れだ。 今は、就活に備えて、4回生は週に1日学校に来ればいい、という状況を学校が認めている、ということだ。 学費は週に1日でも同じように取るのにだ。 そのうえ、就活で忙しいのなら、ゼミに来なくていいという先生も多い。 公式には「人事のハンコが必要」という書類もあるが、そこは有名無実になっていたりする。 一方で、企業はもっと大学で勉強してほしいと言っている。 昔は、企業内で訓練すると言っていたが、今やそういう余裕もなくなった。 だから即戦力の学生がほしい、ということだ。 それでいて「全学部全学科」という求人はおかしいだろう。 文章を書く仕事がメインなら文学部とか、経理なら経済学部や、商学部、総務なら法学部、営業なら経営学部とかいうように、専門性を問えばいいのだ。 「こういうことができる学生」というのを具体的に求人票に書くようにしないといけない。 それを、「コミュニケーション能力のある人」、「論理的思考力のある人」とか「熱意がある人」などという言葉でごまかしてはいけない。 ぼくは、文系の大学生は気の毒だと思う。 大学を出ても、なんら専門性は問われない。 求人は「全学部全学科」というのがほぼ100%。 まずはこれを変えなければ、勉強する気にならないだろう。 結局、今の求人形態が、文系の大学生に「勉強しても就職の役に立たない」というメッセージを出している。 それらも含めて、変えていくことを経団連の会長は宣言したのだと思う。 一部の企業と大学は、まだまだ周回遅れなのだ。 昭和の時代、成長していた頃の遺産を引きずっている。 遠い道のりだが、これを変えていかなければ、いけない。 |
![]() |