![]() |
2018.10.24 Wednesday
大学の会議
学校法人に転職して驚いたことの一つは、大学の会議のやり方だ。
大学には、公式の会議というものがあり、これは会社でやっていた会議とは全く異なる。 公式の会議というのは、定期的に開催するもの。 逆に、問題が発生したり、何かの課題があるからという、会社の「普通の会議」というのはほとんどなかった。 なぜ定期的な会議ばかりになるかというと、いつ誰が学校にいるかわからないからだ。 会社なら、社員ということで、出張でもない限り会社にいる。 それが当たり前だから、いつでも会議ができる。 だから、緊急招集というようなことでも対応できる。 ぼくのいた私学は、週3日だけ出勤という(正規の)教員もいたし、教員には勤務時間というものがなかったから、極論すればその日の授業が終われば帰れる。 だから、いつ誰が出勤しているかはわからなかった。 一応、出勤簿というものはあったが、みんなまとめて月末にはんこを押していたと思う。 もう一つ、部署というものがないということもある。 業務の単位としての部署、というものがないのだ。 教員一人ひとりが個人営業主という感じ。 だから、誰かがいないから、代わりの人を出す、ということもできない。 例えば木曜日を会議日とすると、第一木曜日は学科会議、第二木曜日は各種委員会、第三木曜日は教授会、第四木曜日は学校の運営委員会という具合。 それ以外にも、ナントカ委員会というのがたくさんある。 とにかく、委員会が好きだ。 各会議は学則で定義されており、定足数とか、討議の目的とかが決まっている。 すべからく、事前に決めていないといけない。 新たな会議体や委員会を作るとなると、定例会議で話し合って決めないといけない。 大学というところは、想像以上に官僚的なのだ。 おまけに、議事録は誰が書くかも決まっている。 担当事務が決まっていて、そこしか議事録は作れない。 おまけに、ぼくのいた大学では、教授会の議事録は翌月にならないと発行できなかった。 教務の事務担当が、パソコンで話した内容をほぼ一字一句書いて、それをまとめる。 誰が何を言ったか、というのが後日でもわかるようになっているのだ。 そんなの、会議で決めたら全体の責任、ということにはならない。 それを「決定した」というのか、ということも疑問だった。 そしてそれを翌月の教授会で、何人かのセンセイに回してサインと押印をもらって、初めて議事録ができたということになる。 機動性のかけらもないが、こういうふうに大学は回っているのか、と驚いた。 だから、勝手に会議を開くことができない。 それらは全部、アンダーグラウンドの扱い。 関係者に声をかけて、打ち合わせという形でやることになる。 そこで決まったことは、メモ扱いになる。 何かが起こって、緊急の会議ということになると、大変だ。 そのために、高いレベルの人たちだけの非公式の会議があって、そこで緊急の課題については討議する。 まあ、なんとも面倒くさいものだった。 たいがいのことは、担当者とその関係者で方向性を出して、それを了承してもらうために会議をする。 全くノーアイデアで会議をするというのは、あまりないだろう。 みんなでブレインストーミング、というのは別だが…。 こういう会議だったから、何かを決めるのは大変。 ましてや、何かを変えるのも大変。 営利企業とは180度違う。 競争があるところでは、1ヶ月も待ってられないのは当たり前。 何かが起こったら、すぐに対応しないといけないのだ。 後日知ったが、世の中の公式の会議というものはそういうものだと知った。 国会も同じことだろう。 公務員の世界もそうなっていると思う。 ぼくのように、民間の営利企業から学校法人みたいなところに転職した人は、きっとびっくりしているはず。 でも、たいがいは長いものには巻かれる。 それは、結構ストレスフルなことだが…。 |
![]() |