考えたこと2

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臨床心理士の栄枯盛衰 3
スクールカウンセラー事業をやっている文科省が、2008年から始めたのがスクールソーシャルワーカーの事業。
深刻化するいじめなどの問題に、文科省も手を打たざるを得なかったのだろう。
スクールカウンセラー事業で、いじめは解決できなかったということだ。

また、経済的な側面をとっても、Wikipediaにも書かれているように、仕事の形態は非常勤で時間数も限られているため、修士号を必要とする資格を取っても収入はワーキングプアレベルという状態。
掛け持ちをしないと食えない。

スクールカウンセラー活用事業は、「近年のいじめの深刻化や不登校児童生徒の増加など、児童生徒の心の在り様と関わる様々な問題が生じていることを背景として、児童生徒や保護者の抱える悩みを受け止め、学校におけるカウンセリング機能の充実を図るため、臨床心理に専門的な知識・経験を有する学校外の専門家を積極的に活用する必要が生じてきた。」のが文科省の文言。

いじめ、不登校がいっこうに減らないことが問題だった。

その事業を2001年から補助を出して実行し、2008年には加えてスクールソーシャルワーカー事業が始まる。

スクールソーシャルワーカー事業の趣旨は次のように書かれている。

「いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待など、児童生徒の問題行動等については、極めて憂慮すべき状況にあり、教育上の大きな課題である。こうした児童生徒の問題行動等の状況や背景には、児童生徒の心の問題とともに、家庭、友人関係、地域、学校等の児童生徒が置かれている環境の問題が複雑に絡み合っているものと考えられる。したがって、児童生徒が置かれている様々な環境に着目して働き掛けることができる人材や、学校内あるいは学校の枠を越えて、関係機関等との連携をより一層強化し、問題を抱える児童生徒の課題解決を図るためのコーディネーター的な存在が、教育現場において求められているところである。
 このため、教育分野に関する知識に加えて、社会福祉等の専門的な知識や技術を有するスクールソーシャルワーカーを活用し、問題を抱えた児童生徒に対し、当該児童生徒が置かれた環境へ働き掛けたり、関係機関等とのネットワークを活用したりするなど、多様な支援方法を用いて、課題解決への対応を図っていくこととする。」

スクールカウンセラーを置いて7年経ったが、事態は解決に至らず、スクールソーシャルワーカーが望まれたということだ。
児童、生徒、保護者の悩みを受け止めただけでは、事態は解決しない。
回りに働きかけないといけない、ということになった。
まさに、ソーシャルワークが求められており、そこは臨床心理士の範疇ではなかったということになる。

当時、この話を聞いて、就職支援のぼくらは「やっぱりなあ」と思った。
大学院の就職は支援範囲外だったが、従来から聞いていた現場の不満が爆発して、「臨床心理士と違う人を入れてくれ」となったのだろう。
文科省のアンケートには、役所の意向を忖度して悪い事は書かないが、それなりに現場の意向が伝えられた結果だと思う。

クライアントだけに寄り添う「カウンセラー」では限界がある。

ちなみに、ぼくは学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを入れて、イジメや不登校がマシになるとは思うが、到底問題がなくなるとは思わない。
それは、教育に携わるものが一般社会から隔離されているからで、そこにメスを入れないとダメだと思う。
これはぼくの私見。

ということで、今や自治体によってはスクールカウンセラーを中止して、スクールソーシャルワーカーのみというところも出てきているのが実情。

だんだんと旗色が悪くなってきたところに、今年新たな資格が出てきた。
それが公認心理師という国家資格。

民間資格の臨床心理士がどうなっていくのか、それは次回に。


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