考えたこと2

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過労死の原因
「過労死」という言葉は日本語であるが、それに当たる言葉が外国にはないらしい。
だから、「karosi」と言われている。
行動経済学者がその分析をしている記事を読んだ。

ある種、過労死という状況は、日本に特有の事情があるのは事実だろう。
それは高度成長期にもてはやされた、日本型雇用慣行だ。
具体的には終身雇用、年功序列、企業内組合という3つ。
それらが、高度成長時代にはうまく時代にマッチした。
しかし、低成長期に入ってそれがマッチしなくなり、今の過労死を招いているのだと思う。

日本のサラリーマンは終身雇用制度で会社に取り込まれ、年功序列賃金で若い頃は安い賃金で働かされるが、年をとると働き以上の給料がもらえ、企業内組合で企業の中で守られる。
それはとりもなおさず、一つの企業の中で職業人生を終える、というモデルだ。
今となっては、それが過労死を生む。

世界にはハードワーカーはたくさんいるが、karosiという言葉が表すように、日本みたいに自らサービス残業を積み重ねての過労死のような問題はない。
なぜかというと、そんな状況になったら労働者は辞められるからだ。
辞めても他に働くところがあれば、辞めることに対する障壁は低い。
日本はそれが高すぎるということだ。

その原因が終身雇用・年功序列という制度だ。
結果的に、会社が労働者を囲い込んでいることになる。
この会社にいれば、定年まで面倒を見てくれる、というインセンティブがサービス残業を合理化するのだ。

また、一旦入ったら、定年まで働くのだから、正社員を雇うコストを上げざるを得ない。
だから、あの手この手で選別をする。
仕事の能力だけで人を選ばないから、人柄とか協調性とか熱意とかいう主観的なものまで判断せざるを得ない。
文系の学生など、本当に気の毒だと思う。
自分が学んできたものが求められず、下手をすると全く質問もされないのだから。
それを知っている学生は、学ぶことに対するインセンティブも下がってしまう。

記事の中では、こう言われている。

「日本企業で過労死が起きる根本的な原因は、問題を抱えている従業員が、自身が組織から逃げる「イグジット」と、声に出して状況を訴える「ボイス」という選択肢を、取りにくい状況に追い込まれているからではないでしょうか。日本の組織は辞職という選択肢が一般的でなく、再就職も簡単でないため、一度組織に入るとイグジットという選択肢がなかなか取れません。」

これが、高度成長期には成功した終身雇用・年功序列のシステムの弊害だと思う。
成長しているときには、組織がどんどん大きくなれるし、一つのところにとどまってそこで貢献することがプラスに作用したのだろう。
しかし、もうそれは行き過ぎたサービス残業を生んだり、過労死を生んだりしている。

おまけに、正社員を雇うコストが高いことが多くの非正規の人達を生んだ。
さらに、成長産業に人が移っていかない。
会社に面倒を見てもらおうという人が多すぎるのだ。
それが雇用の流動性を下げている。

ホントの働き方改革はそこを変えないといけないと思う。


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