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2017.10.31 Tuesday
みおつくし料理帖
みおつくし料理帖 高田郁 ハルキ文庫
NHKで時代劇をやっているのを見て、読んでみようと思ってここに書いたら、大学時代の友人が10巻を貸してくれた。 友情に感謝。 シリーズ10巻あって、1巻あたり4つくらいの料理が出てくる。 もちろん、それに因んだストーリーが絡む。 主人公は澪(みお)という料理人。 天性の味覚を持って生まれたが、今は天涯孤独の身の上。 料理の腕を見込まれて、大阪で修業をするが、店は潰れて今は母親代わりの女主人と一緒に江戸に出てきている。 事故で別れた幼馴染が、何の因果か吉原で太夫になっていることを知り、救い出したいと思う。 これが10巻全体を貫く縦糸。 横糸は勤めている料理屋の面々が織り成す人間関係。 主人公の恋もあれば、商売敵の料理屋との競争もある。 高田郁という人は、以前「銀二貫」という時代小説を読んだ。 その時も、絵になる小説を書く人だと書いたが、このシリーズもそう思う。 マンガの原作をやっていただけのことはある。 随所にホロリと泣かせる場面が散りばめられている。 料理を食べた何気ない客の一言が、主人公を喜ばせる。 もちろん、笑わす場面もある。 料理や食材、味、においなどの模写もいい。 澪のいる「つる屋」に行ってみたくなる。 このへんも絵になる小説だろう。 この人は市井の職人が好きだ。 主人公の澪が作る料理は、高い食材もでないし、庶民が食べられるもの。 歴史には名を残さないが、そういう職人たちが今の料理を作ってきたという澪の思いもある。 その人たちを愛でたいという気持ち。 読んでいて励まされるのは、澪がいつも安い値段で材料をムダにせず、それでいて美味しいものを作ろうとすること。 そして、それを食べる人たちが、料理人に感謝の気持ちを持つことだ。 自分はどういう料理人を目指すのか、というのも10巻を貫くテーマになっている。 一流の料亭で腕を振るうのか、それとも…。 その道をみつけ、生きていくのだ。 こういう時代小説を読んで楽しめるのは、本当に幸せなことだと思う。 みおつくし料理帖、全10巻。 読みだしたらやめられない。 このシリーズも睡眠不足注意だ。 |
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