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2017.10.20 Friday
失業率と自殺率
日本の2016年の失業率は世界で98位。
もちろん、高い方から1位での順位だ。 3%ほどで、日本の失業率は世界的でも低いと言える。 西欧で失業率が高い方の国というと、ギリシアやスペイン、イタリアがある。 いずれも10%〜20%になる。 ギリシアが3位、スペインが7位、イタリアが20位だ。 日本では失業率と自殺率は相関が高い。 失業率が増えると、自殺率が上がる。 ちなみに、日本の自殺率は2015年で18位。OECD加盟国では高い方だ。 19.7%という数字になっている。 でも、西欧では失業率が高くても、自殺率は高くない。 失業率の高かった国々を自殺率の順位で見ると、ギリシアが153位、スペインが91位、イタリアが101位。 だいたい、5〜8%だ。 日本の見方で考えると、失業率が高いのに、どうして自殺率は高くないのか、ということになる。 理由としては、宗教上のものや、社会のシステム上のものなどが考えられる。 宗教は大きいだろう。 キリスト教は自殺を罪としているから、少ないのかもしれない。 日本人は宗教を意識していない。 仏教は近代に入って、葬式を商売にしてしまい、堕落してしまった。 だから、ぶっちゃけていえば、本来の宗教上必要な、自分は何者かという問いを発する機会がない。 和を大事にするという社会の同調圧力もある。 そういうのが、原因の一つになっていると思う。 もう一つの原因は、現在の雇用慣行だ。 今や労働者全体の半分に減っているが、「正社員」という働き方。 会社に正社員として入ると、終身雇用制度に守られた身分になれる。 会社側は簡単には首を切れない。 今や組織率は17%程度しかないが、労働組合も守ってくれる。 ただ、そこからはみ出ると、なかなか雇ってもらえない。 新卒のチャンスを生かすことができなかったり、3年以内にドロップアウトしたり、中高年になって追い出し部屋のようなところに入れられて、やめてしまったりすると、なかなか復活できない。 終身雇用とセットの年功序列賃金の影響もあるだろう。 若い頃は安く抑えられ、年をとると高くなるという制度。 結果的に中高年が給料が高くなる。 今のように、技術革新が早く、それを知っている若い人たちが生産性が高くなったりする場合、年功賃金の制度では生産性との乖離が大きくなってしまう。 高い生産性を得られる若い人たちは報われない。 でも、我慢して働かざるを得ない。 辞めてしまうと、正社員のレールに戻れなくなる。 そのへんにもストレスがあるのだろうと思う。 つまり、仕事をいったん失うと簡単には元のレールにはなかなか戻れないという社会だ。 だから、失業率と自殺率は相関があるのだろう。 きっとイタリアなどは、仕事を辞めてもまた働くことのハードルが日本ほど高くないんだと思う。 これからの日本は成長分野を見つけ、仕事を変わっていく時代だ。 そうすることが、若い人たちが幸せになれる道だと思う。 |
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