考えたこと2

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高卒採用は宝の山
高卒採用は宝の山」という本が日経から出ている。
書いたのはベンチャー企業の顧問として活躍している人。
銀行で22年働き、証券会社、小売業を経て眼鏡の会社を作り、広告会社の社長等を経験して、経営指導の仕事をしている。

成長している企業は、高卒社員を上手に使い、中には業務のほとんどを高卒社員が支えている企業もあるという。
紹介文によると「サッポロ、ライオン、西武鉄道、イーストボーイ、菓匠三全、東京鋪装工業、北日本石油、敷島製パン、ヤマト運輸など、成長企業21社の高校新卒者の採用実態、さらにそれぞれの企業で働く高卒社員に直接インタビュー、彼らの仕事に対する誇りや希望も収録しています」と書いてある。

こないだ書いた、教育困難大学の話の中で、大卒と高卒に一緒の採用試験をすると、高卒の方が成績がよく、「いったい4年間何をしているのか」という企業の声があった。
それを実績として出しているのがこの本だろう。

結局、4年間を大学で浪費した形で過ごすよりも、高校を出て働き、社会での教育を受けたほうがいい、ということの表れだと思う。
「学生時代に力を注いだこと」が「アルバイト」というような学生が、結局は高卒で働いた方がよかった、ということになることが多い。
特に、下位の文系の単科大学の多くはまさにそういうことになっている。

「成長企業には高卒社員を積極採用しているところが多く、業務のほとんどを高卒社員が支えている企業、実力次第で学歴に関係なく同様の業務を担当させている企業、若いうちから就業させることで風土になじませたいと考える企業など様々。学歴構成だけでなく、業種や人事戦略により、高卒社員の活躍する姿は多彩であることがわかったのです」

だんだんと、企業も気がついてきたということだ。

90年代から大学が増え、20年以上が経った。
それ以降にできた大学は、例外もあるが、だいたい92年以降の18歳人口減少局面からできた学校は、おしなべてシンドイ大学だと思う。
その覚悟をもって、入った学生をちゃんと教育する、という観点で入試をやり、ちゃんと教育できる学生を入れて、カリキュラムを作り指導している大学はまだいい。
2000年くらいから18歳人口がピークだった1992年(205万人)から50万人ほど減り、定員未充足の大学が増えた。
このあたりから、入試が成立しない大学が増え、私学では一般入試の入試科目が減り、推薦やAOで入る学生が増えた。
その流れのまま今に至っている。

最も苦しい大学では、入試の期間を決めて、その時期に来た学生は入試を受けられる、というようなところもある。
事実上、名前が書けたら入れるということだ。
推薦やAOでも志願者を集められず、定員はもちろん未充足。

一方で、大学教員になるルートは一向に変わらない。
大学の博士課程に行き、博士論文を書くというようなルートだ。
そこでは研究者になることが求められる。
教育の方法など、ほとんど教えない。

往々にして、いい研究者はいい教育者になるのは事実だと思う。
しかし、下位の大学に行く教員は、残念ながらいい研究者ではない。
学会での論文実績など、ほとんどない人が多い。
そういう人は上位の大学に取られてしまう。
だから、必然的に、下位の大学には研究も教育もできない教員が多くなる。

そういう状態だから、高卒採用は宝の山、ということになるんだろう。
実際、高校を出て就職の道を選ぶ若者はしっかりしているんだろう。
だからこそ、誇りと希望を持って働いているのだと思う。

文科省の高等教育局は読むべきだ。

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