![]() |
2017.02.13 Monday
日残りて昏るるに未だ遠し
藤沢周平の「三屋清左衛門残日録」というドラマを見た。
北大路欣也が御用人を隠居した老人をいい感じで演じている。 彼がつけている日記を残日録と呼んでいる。 物語りは彼が東北の小藩のお家騒動に巻き込まれていく姿を描く。 三ツ矢清左衛門は、今で言うと、サラリーマンをそこそこの地位で退職したという感じ。 つれあいには先立たれた。 まだ元気は余っているが、やることがない、というところから始まる。 そこで残日録をつけ始める。 それと同時に、お家騒動に巻き込まれていき、やる仕事ができて元気になる。 現役時代のネットワークや、未だに現役の友人の奉行などから情報を仕入れ、若い頃にやっていた道場で剣道の稽古も始める。 子どもに剣道を教えることに喜びを見出す。 選択を誤って出世できなかった同級生との確執もある。 身体の不調も出てきた。キライなお粥も食べないといけない。 友も亡くなっていく。 今まで自分が正しいと思った道を歩いてきたつもりだが、人にはそう見えなかったのかもしれない。 自分を嘆くのは簡単だが、それではいけない。 今、ここで生きるしかない…。 そう考えて、今を一生懸命生きる。 こういうドラマは今ウケるんだと思う。 高齢化の時代だ。 三ツ矢清左衛門と自分を重ね合わせる人は多いと思う。 定年して、何もすることがない。 仕事一途でやってきて、趣味と言えるものもあまりない。 定年当初は同期の退職者といろいろやっている。 でも、最近は一人欠け、二人欠け、だんだんと減ってきた。 自分はまだまだできる、と思っているのだが、世の中が自分を必要としているのかどうかわからない。 残日録の「日残りて昏るるに未だ遠し」という言葉が身にしみる。 ドラマの最後に書かれた言葉。 老いることすなわちまた生きることなり いつの日か命果てぬとき来たらば ありがたき心捧げて死を迎えん されどいよいよ死ぬるその時まで 与えられし命いとおしみて ひとすじに生き抜くべし 藤沢周平、まだまだ読まれるだろう。 |
![]() |