考えたこと2

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教員のキャリア観
元小学校の教員だった中沢良平という人が、「キャリア教育が「貧困JK」を生んだ」という記事を書いている。

自身が教員だっただけに、説得力のある記事だと思う。
要はキャリア教育、というものが原因で「アニメーターになりたい」「声優になりたい」という子供が増えたが、それはいいことか?という問題提起だ。
アニメーターはなれたとしても薄給だし、声優はなかなかなれない。どちらもバイトで食いつないで、必死でやって、それでもムリだと諦めたりする種類の職業だ。

「仕事=自己実現」という考え自体は悪くはないと思うが、それを絶対視してはいけない。
記事では「このような極端な考えに振れてしまったのは、そもそもキャリアについて考えたこともないように見える先生たちが、キャリアについて教えをたれているからです。だからどうしても無責任に「やりたいことをやりなさい」と言ってしまうのです。いちばんやってはいけないパターンではないでしょうか。」という。

ぼくは小学校のキャリア教育のことは知らないが、大学の教員のことなら少しはわかる。
昔に比べると実業界出身の教員も少しは増えたが、それでもまだまだ少ない。
それら大学の先生方を見ていても、同じことを思う。

人は自分の経験の中でしか、なかなか考えられない生き物だ。
大学の先生というのは、おおかたはアカデミックなルートで就職する。
学部を出て、修士、博士と進み、そこから助手(今の助教)になって、ひたすら運を待つ。
もちろん実力もあるだろう。
論文をたくさん出せるような人は認められる。
でも、論文も出せず、ろくに研究をせずとも教授の下で雑用をこなしていればチャンスはある。
教授だって、自分の雑用をやってくれる人を厚遇しないと、次に雑用をやってくれる人が現れない。

また、留学して海外で何年か過ごし、「ハク」をつけて帰れば、よその学校に推薦してもらいやすい。
学校のランクはほぼ偏差値に比例するのだが、高い位置の学校なら、教授が低いところに推薦してくれたりする。

今は公募という形を取るが、実際上はそういう人的コネで決まることが多い。
また、低い位置の学校の教員は、高いところから優秀な人が来るのを嫌うから、優秀でない人もルートに乗れることが多い。
それが今決定権がある先生方の就職事情だったろう。
だから、サラリーマンになるような、キャリア意識など持ちにくい。
サラリーマンになった人たちとは、大きく違うのだ。

最近は大学も増えたが、それでも教員は飽和状態になってさらに厳しくなった。
博士が何万人も余っている。
博士がアカデミックルートでしか就職できないから、余っているのだ。
そのことを見ても、大学の先生がキャリア教育できていないことはよくわかる。

もちろん、中にはいい先生もいる。
ただ、何度も書いたが、そんな先生は少ない。

中沢氏は書く。

「教育機関の人間は、初等中等教育の先生だけでなく、大学教授、教育委員会、文科省ふくめて世の中のしくみを知らない人が多いと思います。世の中の大多数は、民間企業に就職して、勤め上げる人、転職活動をしたことのある人、個人事業主や経営者の人などです。こういった方々を活用するのがいちばんいいと思うのですが、学校にゲストを呼ぶのは謝礼や手続きの面からもハードルが高いのです。(学校は教員の安くない給与は保証しますが、それ以外のコストはとにかくケチなのです。)それに先生方は、そのような人材がいるということすらも知らないのです。」

昨今は大学も地域連携などで地元の商店街や役所の人たちとは話す機会も増えたが、企業の人たちとはめったに話さない。
だから、事務の方でキャリア?育の一部として、サラリーマンになった卒業生を呼んで話をさせたりしている。
もちろん、そういうことを積極的にやっている先生もいるにはいる。
やっぱり少ないのだが…。

だから、先生のキャリア観というのは、資格志向になってしまう。
この学部に行ったら、こういう資格が取れて、こういう職業につけるというヤツだ。
ウソだと思ったら、いくつかの大学案内を見てみればいい。
きっとそう書いてあるページが見つかる。

まあ、この学部を出たら、サラリーマンになれます、というのももう一つだが…。

でも、どんな力がつくから、どんな業種や職種が行きやすい、というようなことは書けるはず。
それでも、そういうことは教員にはわからない。

それが問題だろう。






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