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2016.11.11 Friday
桜ほうさら
桜ほうさら 宮部みゆき PHP文芸文庫
PHP文芸文庫というのができていた。 昔は新潮、文春、講談社、角川、ハヤカワあたりだけだったが、今はいろんな会社が文芸関係の文庫を出している。 同じ作家の同じ本が、出版社を変えて出ている場合もあったりして、時々間違えそうになる。 「桜ほうさら」は2013年の出版。2016年に文庫で出た。 信州の方の方言である「ささらほうさら」をもとに作った著者の造語。 「ささらほうさら」は、「いろんなことがあって、大変だった」という意味。 まさしく主人公は大変な苦労をする、というストーリー。 小さな藩の小さな事件が元で、父が死んだ。その真相を解明しようとする次男が主人公。 宮部みゆきらしく、「文字」がテーマのミステリー。 上巻では大きな動きはなく、主人公の周りの様子が淡々と描かれる。 それでも、下巻であれが伏線だったのかということが散りばめられている。 字は結構大きく、老眼でも読みやすい。 その代わり、ページ数が上下で800ページほどあり、長くなっている。 これも高齢化の影響だろう。 こちらはこないだ読んだ「妻はくノ一」よりもちゃんとした時代小説、という感じだ。 読み応えがある。 全ての伏線がつながって、最後にまとまるという宮部みゆきの手腕はさすが。 主人公は長屋住まいで、回りの人たちも生き生きと描かれる。 庶民の暮らしの中にドラマはある。 そして、いつの世も家族の問題はややこしい。 実家の母から借りてきて読んだ。 こういう小説が良くなってきた。 |
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