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2016.10.14 Friday
譜面を書く
ジャズギタリストのハーブ・エリスが演奏する、"Blue Moon"という曲のソロの譜面にした。
譜面などほとんど書いたことがないが、やはり好きなフレーズを弾こうと思うとどうしても譜面にしないとムリだということで書いた。 昔は五線紙に書いたのだが、今回は無料のソフトを使う。 マウスで音符を貼り付けていくというもの。 無料のソフトだからちょっと使い勝手は悪いが、それでもありがたい。 やってみると譜面というのは本当に不完全なものだと思う。 ギターのように、弦を指で押して1/4音ほど音程を変えたりするというのは、そもそも書く仕組みがない。 音の高さと鳴らすタイミングは音符で示されるが、同じ音符でも実際どれだけ音が出ているかは正確ではない。 ちょうど1/4拍音が出ると4分音符ということになるが、ギターの場合な弦をはじいて音をだすので、どこまで鳴っているかは演奏する方もわからない。 演奏を聞いて、適当な休符を入れることになる。 音の強さもフォルテとかいう記号で書けるが、それが実際どれくらいの強さなのかはわからない。 スライドして音の高さを変えたりすると、その2つの音が16分音符2個なのか、付点16分音符と32分音符なのかははっきりしない。 結局は譜面を元にして演奏を聞き、それで感じをつかむということだ。 特にジャズの場合は、リズムが跳ねているので、最初にそんな風に宣言する。 だから、譜面だけを見ても、なかなか元の演奏は再現できない。 その時の演奏は、その場限りのものだ。 それはどんな音楽も同じだろうが…。 現実を紙に書いて表す、というのはそういう作業だろう。 きれいな夕焼けを見て、それを文章や詩で表そうとしたり、絵に描こうとしたりするのと同じようなものだ。 いつも、現実は紙に書いている間に逃げてしまう。 それでも、何らかの手がかりを残したいために紙に残す。 それが譜面であったり、文章であったり、絵であったりするのだろう。 文明が進んで今なら録音もできるし、写真や動画も撮れる。 それでも、紙の便利さには勝てない。 音や写真などの持っている情報量と、紙の情報量は比べものにならない。 圧倒的に紙に書いたもののほうが少ない。 時に天才が現れ、がいたものの方が現実よりも感動を与えることがある。 それらのものが残っているから、なかなかやめられない。 絵や文章ならそれもあるだろうが、でも譜面だけはやっぱり現実には勝てない。 譜面を書きながらそんなことを考えた。 |
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