考えたこと2

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初年次教育 その2
少し前に大学の「初年次教育」について記事があり、それを読んでぼくも感想を書いたが、その続編があった。

続編の内容は以下のようなもの。
中下位の大学では、本来の大学教育である学士課程教育をやろうとするのだが、大学の大衆化で学力がついてこない学生が多く、その準備段階として初年次教育というのが始まった。
いざやりだしてみると、これも足りない、あれも足りないということがわかり、科目が増える。
教え方も丁寧にならざるを得ない。
しかし、その事が結果的に「学生」を「生徒」にしてしまい、本来の学士課程教育にはそぐわない「受け身」の姿勢を作ってしまう、というもの。

この先生は法政の先生だから、大学のレベル的にはそこそこ高い。
学部の偏差値は57.5になっている。
法政レベルなら、そんなに推薦やAOは多くないだろう。
調べてみると、一般入試で7割弱はとっている。
関西で言うと関関同立レベルだ。
そのレベルだからこそ、悩ましい事が起こるのかもしれないが…。

ぼくがいた大学も初年次教育をやっていた。
でも、出口の面(就職)から見ると、まだまだ足りないものだった。
エントリーシートが書けない。
もちろん書く内容が見つからない学生もいるが、内容があっても書けない学生がほとんど。
だから、一生役立つ文章力をつけることを考えた。
初年次教育に続けて、文章の書き方を指導する授業をやってもらった。

と言っても、簡単にできたわけではない。めちゃくちゃ苦労した。
やるからには必修でやらないと意味がないし、その授業を作って、課外で教える場所も必要だったから場所も確保して、そういうことを教えている先生を見つけ、来てもらったのだ。
もちろんぼく一人で出来るわけはない。なかに協力してくれる先生を見つけてお願いした。
先生を採るとなると、いろんな教員の会議を通して採らないといけなかったから、ホントに大変だった。

それで、3年目。
三回生がエントリーシートが目に見えて書けるようになったかというと、相変わらず。
毎年来る学生のレベルは下がっている感じだったから、授業をやってどれだけ伸びたのかはわからないのだ。
一つの授業を入れて教えても、それでどれだけの学生が育つかは難しい。
あとはゼミの中で少人数で問題意識を持たせ、本を読ませ、文字を書かせるという経験が必要なのだろう。
それでも、やらないとどんどんひどくなる。
文章力がないと、就職してから、一生困ることになるからだ。
そういう努力はやらざるを得ない。
記事の中にこう書かれている。

「初年次教育への取り組みは、大学教育の善意であり、熱意の表れである。実施すれば、それだけの効果はある。きめ細かな対応を試みようと科目を新設すれば、それ以前と比べて、明らかに成果は出る。そうやって、初年次教育を担当する日本中の大学教員が、日々苦労と努力を重ねている。その営為を嗤うことは、けっして誰にも許されない。」

それは事実だろう。
しかし、ぼくは思う。
うがった言い方をすれば、経営のことを考えなければ、学士課程教育に値する学生だけを入試で選抜することはできる。
入試というのは、本来それを問うものだ。
そこで経営のことを考えるから、こんなことになった。
定員分の人数を取る前提で予算はできているからだ。

大学の要求レベルというのは、概略、それまでの小中高の教育の結果だ。
人数稼ぎのために学力に目をつぶって推薦入試やAO入試をやっているのなら、それはやめなければならない。
その上で、一般入試でその大学が学士課程教育ができると判定する人をとらないといけない。
それが大幅に定員よりも少なければ、それはそれで仕方がない。
それが教育に関わるものの良心ではないか。
入れても、ちゃんと教育できない学生はとるべきではない。
それは逆に彼らの教育の機会を失わせていることになるからだ。

それでも、経営のことを考えないといけないのなら、大学を変えるべきだ。
暫定的にでも、小中高の学び直しの授業をやらないと仕方ない。
そして、大学が文科省に対して、小中高の教育の不十分なところを言わないといけない。

それをちゃんとやってこそ、日本の教育がまともになるのだと思う。

いつまでも現場で対応していくのは無理だと思う。



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