![]() |
2016.07.26 Tuesday
面白く話す
何度か書いたが、面白く話すのは難しい。
天性の才能を持った人もいるが、大方の人は面白く話すためには努力が必要だ。 そもそも、面白く話そうと思わない人も多いことに最近気づいた。 ぼくは、話す限りは面白く話そうと思うものだと思っていのだが、マジメに話すのがいいと思っている人の方が多い。 だから、世の中の講演会など眠たいものが多いのだと思う。 面白いというのは、興味深いという意味であり、聞いていて前のめりになる、という感じだ。 そこにいくつか笑いがあればもっとよい。 自分の言いたいことだけを話すというのは最も悪い。 だれもあなたの言いたいことなど聞きたくない、という前提に立っていないのだろう。 なぜそれを言いたいのか。 どんな事例があるのか。 聞いている人にわかるようにそれを話さないといけないのだが、そういう人はそれを無視する。 だいたい、そういう人は時間にルーズなので時間いっぱい話す。 質問の時間などない。 こういう会に付き合わされたら最悪だが、世の中にこの手の会が多いのは事実。 聞く方のことを考えていないのだ。 聞く方のことを考えていても、ダメな場合というのがある。 話の持って行き方が悪い、というやつだ。 普通に話せば、物事が起こった順に話すのだが、逆にして話したほうがわかりやすい場合がある。 話し手は結論を知っているが、聞いている人はわからない。 だから、結論を先に言って、わかった状態で原因を話すほうが圧倒的にわかりやすい。 面接では「まず結論から話す」ということを指導するが、それがわかっていない人が多い。 もちろん、経験もある。 余裕がないと、なかなか聞く方もゆったり聞けない。 聞く方の人たちを見て、反応を確かめながら話せるようになると、強いだろう。 わかってないな、と思ったら、補強すればいい。 もう一つ、「話しを聞く」という雰囲気を作ることだ。 これは落語の場合は「枕」という。本題に入る前の導入部。 素人落語の場合、「枕」は大事だ。 聞き手の「どんな人が話すんだろう」という緊張を解いて、「面白そうだ」という雰囲気を作らないと、いくら頑張っても受けない。 ここで笑いを一つとると、全く違う展開になる。 プロでも名前を知られていない落語家など、かならず枕で笑いを取るようにしている。 そういう「場」を作る、ということが事の成否を分けると言ってもいい。 NHKでやっている文化講演会をよく聞くが、最近は予算が減ったのか、悪い意味でマジメな講演が多すぎる。 さすがに、有名な作家とか、何度も一般の人に講演をやっているような人たちが出ると、惹きつけられるような講演になる。 そういうのをよく聞いていると、場を作るのが上手だということがわかる。 もちろん、聞き手が演る前からどういう人か知っている、という側面も大きいのだが…。 もう30年ほど前に会社の労組の動員で講演を聞きに行った、棋士の内藤國雄の話は今でもよく覚えている。 「おゆき」という曲が流行って、ちょっと経った頃だった。 応援演説という名目だったが、要は「おゆき」という歌謡曲を内藤が歌うようになった経緯の説明。 本当に面白かった。 誰の応援だったかなどは全く忘れたが…。 あの時に、「おゆき」のもう一つのバージョンのメロディーを歌ってくれたのだが、それは今でも覚えている。 よく出来た講演は、それだけ心に残る。 残念ながら、そういう講演にはめったにお目にかかれない。 もう少し、話し手は「面白く話す」努力をすべきだろう。 |
![]() |