考えたこと2

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スピンオフ
地球は知らぬ間に人間が増えている。
ぼくの中学のころは35億というのが世界の人口だったが、今や70億だという。
わずか数十年で倍になった。
当然、これからも増える。
日本をはじめ、欧州などは減る予想だが、増える地域は多く食料や水が不足するのが予想される。
それをちゃんと賄わないと、また戦争が起きるかもしれない。

そこで脚光を浴びるものの一つが植物工場。
ビルで植物を育て、効率的に栽培しようという方法。何といっても、気候に左右されずに取り入れができるというのが大きい。
また、害虫などもいない環境なので農薬がいらないというメリットもある。
だから、多くの企業が取り組んでいる。

でもなかなかうまくいかないらしい。
今の植物工場の7割が赤字経営ということだ。
工場を作って、維持管理するコストが高いということらしい。
どうやって、植物を効率的に育てるか、画期的な方法が見つかったらノーベル賞ものだろう。

そこに一つの光明がさした。
LEDの光を使って、栽培するという方法だ。
それも、野菜に赤の光を12時間、青の光を12時間交互に照射するらしい。
この方法で、レタスの収穫までの期間が2/3になる。
また、LEDなので電気代も蛍光灯の半分になるという。

この方法を見つけたきっかけが面白い。
従来は植物にも睡眠?が必要ということで、何らかの光を当てた後真っ暗の時間をとって、それからまた光を当てる、ということをやっていた。
ところが、研究担当の学生がタイマーのセッティングをまちがって、赤と青を交互に当ててしまったという。
その成長が早かったので、研究が始まったということだ。
この結果に専門家は驚いているとのこと。

既に特許等は取っているらしいが、成長が早まる理由はまだわからない。
どうも植物の種類によって、時間配分を変えたりしたほうがいいとか、光の比率を変えたほうがいいとか、そういうことはあるらしい。

こういう類の発見はよくある。
島津製作所の田中さんのタンパク質に関する発見も、間違えてできたものを捨てずに調べてみたことがきっかけだった。
古いところでは、ゴムを強化するための加硫の技術は、グッドイヤー氏が硫黄を混ぜたゴムを偶然ストーブの上に置いたことから見つかった。

実は、そういうのを「スピンオフ」といって、それを大事にしないといけない、とぼくは1979年に会社に入った時に聞いた。
当時の研究開発部のNさんという重役がそれを話した。
詳しい内容は覚えていないが、それを聞いて研究開発というのは面白いものだと思ったことは覚えている。

間違いがわかっても、そこでやめるのではなく一応やってみよう、ということだ。
結果はどうなるか、わからない。
その考えは正しいと思うし、人間が想定できることなどしれているのだから、とにかくやってみることが大事だと思う。
それは工学の考え方だ。
エンジニアリングという言葉には、そういう「人間の間違いの中からも何かが生まれる」という意味も含まれているのだと思う。

その「スピンオフ」という言葉は、ぼくの中でずっと生きている。

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