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2015.07.12 Sunday
「聴く力」の強化書 岩松正史 自由国民社
CDAという資格を取ったのだが、その2次試験のロールプレイの参考に購入。
1回目の2次試験は落ちて、もっと傾聴をしないといけない、ということだったので、「聴く力」という題名に惹かれた。 この本は読みやすい本なので、一日あれば余裕で読める。 書いてあることも著者が講演でやっていることなので、わかりやすい。 こういう本を読むと、いかに普段人の話を聞いているようで、聞いていないかということがよくわかる。 「傾聴」というのが、難しいということがよくわかるのだ。 耳を傾けて聴けば、傾聴ができると思ったら間違い。 ちゃんとリクツがある。 傾聴は感情にアプローチするものだという。 要は、気持ちを聴くことになる。 対して、アドバイスというものは、認知や行動にアプローチするものだ。 ついついこれをやってしまう。 自分の考えを話すのだ。 これが悪い、というわけではない。 時と場合によってはアドバイスが必要なこともある。 しかし、傾聴はアドバイスとは違うのである。 胸のあたりに「心のバケツ」を想像して、そこがいっぱいになっていると想定する。 感情が、バケツから溢れ出している状態。 そんな状態なら、誰かがアドバイスをしても聞けない、聴く余裕がない、ということだ。 だから、有効なアドバイスをするためにも、傾聴をして心のバケツの水の水位を下げることが必要になる。 たいがいの場合、心のバケツの水位が下がってくると、次の一歩は本人が考える、と著者は言う。 自分で決めたことほど、高いエネルギーを持って向き合えるから、それが大事だという結論。 だから、傾聴は大事だという。 しかし、常に傾聴が必要だと言っているのではない。 傾聴のスイッチを用意しておき、そういう場面では、スイッチを入れられるようになるといい。 「あなたが、もしコミュニケーションで困っていることがあるなら、「傾聴力」のスイッチを持つと、必要な時に傾聴が使えるようになります。 「傾聴」はあなたが楽になるために、いいとこどりして使えるものなのです。」 この本には訓練のやり方や、会話の事例が書いてある。 なかなかためになる。 例えば、事柄と気持ちの違い。 何も意識せずに聞くと、事柄をついつい聞いてしまう。 事柄とは、誰が、いつ、どこで、何を、どうやって…、という類のもの。 事柄はイメージできるから聞きやすい。 しかし、気持ちはイメージできない。 感じて、わかることしかできない。 何も意識せずに聞いていると、ついつい事柄を確認しようとして、話の腰を折ってしまう。 事柄は本人にとってはわかっていることで、どうでもいいことなのだ。 それよりも、気持ちを聴くことが傾聴の第一歩である。 言うは易く、行うは難し。 そういうトレーニングの本である。 1300円は、トレーニングに行ったと思えば安い。 しかし、1つ大きな疑問なのは、仕事でたくさんの臨床心理学者と付き合ったが、あの人たちが傾聴ができているとはとても思えないことだ。 単にスイッチを入れていないだけなのか、もともとスイッチがないのか、よくわからない。 まあ、商売柄、お金をもらえる時だけ、スイッチを入れるのかもしれないが…。 お互いのコミュニケーションもよくない。 要するに仲が悪い。 認めあったらいいと思うのだが、これもなかなかうまくいかない。 だから、仲間づくりが下手だ。 まあ、普通に言うと、人付き合いに関しては下手な人たちが多かった。 そういう疑問は残ったが、まあ、よしとしよう。 |
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