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2015.05.29 Friday
アトムの未来になかったもの
手塚治虫が鉄腕アトムで描いた世界は、人間とロボットが共存する社会。
人間と一緒の学校に通うアトムが描かれていたと思う。 原子力を使った動力で動く。 今の日本なら、これは危ないぞ、と言われるだろう。 アトムはあくまで自力で考えていた。 自力、というのは自己完結と言ってもいい。 外部からの知恵というようなものはなく、アトムで描かれたロボットは、自分で考えることができるロボットだった。 アトムは自分だけの経験で学習し、育っていった。 それが、当時考えられていた人工知能だったと思う。 つまり、人間と同じように学習して、育っていく、というロボットだ。 最終回では自らを犠牲にして地球を救うという行動をとる。 そういう「心」さえ、人工知能は学習で得ることができる、という理想があった。 今、人工知能で銀行のコールセンター業務をやるとか、キャッチコピーを作るとか言われているが、それらはちょっと違う。 その人工知能のシステムは、なぜそんなことができるか、ということだ。 それは、知識を外部から取り込んで分析できるからだ。 そこにインターネットが活躍する。 例えば、銀行のコールセンターでの質問と答えの事例の情報をインプットする。 日々の事例をインプットしていくと、質問に対する対応が予測できるようになる。 そんな、多くの人の経験を取り込んでいるから、業務ができるようになるのだろう。 それらを実現するのが、インターネットの仕組みだ。 インターネット上にはあらゆる情報があふれている。 それも、コンピューターが使いやすいように電子化されている。 それらを利用することで、人工知能は学習できる。 人間は何を学習したのかはわからない。 機械が勝手に学習する。 そんな仕組みで今の人工知能はできているらしい。 手塚治虫がアトムを描いた時には、インターネットというものは想像もできなかったと思う。 インターネットができた時も、多くの人が今の時代の使われ方を想像していなかった。 アトムで描かれた未来になかったもの、それがインターネットだ。 そして、そのインターネットが世の中を変えていこうとしている…。 |
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