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2015.05.26 Tuesday
民主主義の理想
昭和30年代生まれのぼくらは、戦後の民主主義教育を受けた。
先生は例外なく民主主義はいいものだと教えてくれた。 ぼくも戦前に比べて、戦後の民主主義の世の中は素晴らしいと思った。 実際、高度成長の時代はよかった。 昨日より今日、今日より明日はきっと豊かになる、という確信があった。 人口は増えて、公害も発生し、石油ショックやニクソン・ショックなどあったが、何とか乗り切り順調に進んできた。 バブルが崩壊するまでは…。 そんな時代だったが、それは民主主義の体制から生まれたものだと思う。 だから、民主主義は素晴らしいと思ったのだが…。 ぼくらが習った先生は、主権者である国民はかしこいものだという前提があったと思う。 はっきりとは言わなかったが、個人と社会の利益を比べた時、自分は損をしても社会の利益を優先する、というような理想を持っていたと思う。 その先生方は生きていれば80〜90代を超えているだろう。 高度成長の時代に作られた医療や年金などのシステム。 それらを支える人が、もらう人よりも多かった時代の遺物だ。 今は明らかに、もらう人のほうが支える人よりも多くなってきた。 少子高齢化というのは、そういうことだ。 年金100年安心プランなどと言っているが、そんなはずはない。 医療も福祉ももらう人が増えて、支える人が減っている。 ぼくらが教わった先生方の理想では、こんなシステムはもう成り立たないから、選挙の時はそう言っている党に投票するはずだ。 個人の利益を考えれば、システムを継続したいが、集団の利益を考えると、何らかの変更が必要だ、ということになるからだ。 でも、実際にはそういう政治家もいないし、そういう声も出ない。 どちらかというと、個人の利益を最大化する方向でみんな行動しているのではないか。 これが戦後の民主主義教育の結果なんだろうか。 理想はどこに行ったんだろうか。 もともと、理想などなかったんだろうか…。 |
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