考えたこと2

2024.9.24から、今までhttp:で始まっていたリンクが、https:に変わります。申し訳ありませんが、リンクが見られないときは、httpsに変えてみてください。
CALENDAR
<< April 2025 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
+RECENT COMMENTS
+CATEGORIES
+ARCHIVES
+PROFILE
+OTHERS
サンデルのプレゼン
あの元祖白熱教室のマイケル・サンデルが、TEDという教育テレビの番組でプレゼンテーションをしていた。
市場主義と市民社会というような題名。
市場主義というのは、極論するとお金さえあれば何でも手に入れることができる、というものだ。
それが市民生活を支配しようとしている、というのがサンデルの問題意識。

サンデルは一例を挙げる。

裁判の傍聴をするために傍聴券を求める列ができるが、お金を持っているジャーナリストはお金を払ってその権利を買う。
そういう権利を売る会社があるらしい。
その会社はホームレスの人たちを使って、列に並んでもらって券を手に入れる。
ディズニーランドのアトラクションもエクストラのお金を払えば、並ばなくても乗れたりする。
刑務所では、お金を払えばいい部屋に泊めてもらえる。

そして、教育分野だ。
子供たちが試験でいい点を取ったり、本を読んだりしたらお金をあげる、という実験だ。
例によって聴衆に問いかける。賛成の人、反対の人手を上げて…。

反対の人はそういうことをすると、子供の内発的動機をそぐという。
賛成の人は実験なら試してみたらいいという。

サンデルは言う。
本を読んだらお金をもらえるということになると、本を読むようになるが、子どもたちは薄い本を選ぶようになる。

しかし、本当の問題は、何でも売り物にすることで格差の問題が大きくなることだ。
経済問題というより市民生活の問題である。
経済学者はことの善悪を考えないという。

サンデルの結論は、何をどこまで買えるか、ということについて議論をしないといけない。
そうでないと、市民社会の中でお金持ちとそうでない人の接点が離れていく。
これは民主主義にとってよくないことだ。

民主主義に完全な平等は要らないが、社会的な一体感は必要だという。
大事なのは社会的地位の異なる人々が触れ合うことだ。
普段の暮らしの中で交流することだ。

昔は野球場では金持ちも貧乏人も同じ席に座って野球を見ていた。
しかし、今は金持ちはラウンジ席を買う。
広々とした席でピザやステーキを食べながら見ることができる。
金持ちと貧乏人は全く触れ合わない。

そういうことは、市民社会にとってよくないことではないか、とサンデルは呼びかけてプレゼンを終えた。

格差が世界一のアメリカにこういう哲学者がいる。


| | 考えたこと | 21:39 | comments(0) | trackbacks(0) |

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://hdsnght1957kgkt.blog.bai.ne.jp/trackback/235777
トラックバック