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2015.05.06 Wednesday
老年学
老年学という学問があるらしい。英語ではジェロントロジーという。
アメリカでは普通に知られている「個人と社会の高齢化」に関する学問領域とのこと。 高齢化社会を迎えようとしている日本には、そんな学問領域はない。 日本人の平均寿命は、今や男性80歳、女性87歳。 そのクオリティ・オブ・ライフを高めるには、医学や心理学、経済学、工学などのいろんな学問が関わってきて、とても内容的に広いものになるらしい。 東大の高齢化社会総合研究機構の先生が言っている。 アメリカでジェロントロジーが先行したのは、自立した個人の社会であり、その分高齢化しても面倒を見る人がいないから、顕在化したという事情もあるらしい。 なるほど。 日本もだいぶそうなってきたが、まだまだアメリカに比べると個人というより家族の面がある。 国民皆保険や年金制度もそれを助けてきたのだろう。 しかし、今の年寄りは若くなった。 実際にそういうデーターがあるらしい。 1992年と2002年の高齢者の通常歩行速度を比べると、男女ともに11歳若返っているとのこと。 たしかに、ぼくが会社に入った1979年、研修中に60歳で定年する人がいたが、たしかに今に比べると年をとっていたと思う。 今の俳優など、60歳で中年の役をやる人も多い。 そういえば、シュワルツネッガーが67歳でターミネーターでカムバックするらしい。 たいしたものだ。 ぼくらが子供のころは、60歳というと、もっと歳を取っていたと思う。 1975年ごろ、男性の平均寿命はだいたい70歳。 定年が平均寿命の10年前くらいになる。 その関係でいうと、今の男性の平均寿命は80歳だから、70歳が定年でもいいということになる。 社会に出て働き出してからの人生を第一の人生とすると、第二の人生は定年後。 その第二の人生が1975年ごろよりも、平均で10年伸びたということだ。 だから、ジェロントロジー、老年学が必要になってきた。 老年になると、身体が不自由になったり、動きが遅くなったり、理解が遅くなったりする。 それをどうやって乗り越えるか。 乗り越えずにどう付き合っていくか。 どうやって死を迎えたらいいのか。 それらのために、個人や社会をどう変えていったらいいのか。 それはこれから必要になる学問だと思う。 すでに人口の2割が75歳以上なのだから、ちょっと出遅れかもしれないが…。 |
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