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2014.05.27 Tuesday
うまくいかなかったらどうするのか その1
ぼくは2009年から2011年まで、大学の事務局長という役職をやった。
経緯はいろいろあるのだが、それはおいおい書く。 当時やらなければならなかったのは、1学部を2学部化する、ということと、その片方の学部をどうするか、ということだった。 どうするか、というのは片方の学部は定員割れをしていて、この定員を回復しないといけなかったということだ。 すでに私学の4割が定員割れという時代だが、そのほとんどは地方の私学。 ぼくのいたところは、都市部だったので、4割という実感はなかった。 しかし、いったん人が来なくなった学部・学科に人が突然くるということはあり得ない。 パターンとしては、定員割れした初年度はちょっと割れるだけだが、何もしないと、2年目、3年目になると半分になってしまう、というケースが多い。 ちょっと話がそれるが、日本の私立大学は、日本私立学校振興共済事業団というのに入っていて、その事業団が私学が潰れないようにいろんなサービスをしてくれている。 民間企業から変わってきたぼくらが見ると、驚くようなサービスぶりだ。 例えば、こんな資料がある。 学校会計というのがあって、学校は企業と会計方式がちょっと違うのだが、それに基いて財務の健全性をチェックしましょう、という資料だ。 興味のある人はリンクを見てもらえばいいが、とっても丁寧というか、財務担当者をバカだと思っているのではないかと思われるような資料になっている。 でも、これに文句は出ない。 それどころか、こういうサービスをしないと、私学はやっていけない。 学校法人は、長らく左うちわの時代を過ごしてきた。 何もしなくても、儲かったのだろう。 しかし、少子化で下から(幼稚園から)順に苦しくなってきている。 そして、もう大学まで来てしまった。 来てしまったが、そういう厳しい時代を経験したことがない人ばかりだ。 だから、指導をしないと潰れてしまう。 まだ、いい時代の貯金があるが、それも底をついて厳しくなってきているのが現実。 すでに大学もいくつか潰れようとしている。 だから、私学共済事業団は加入者を減らさないために、指導を行っているのが現実だ。 民間企業の人は、こんな資料を見たらびっくりする、というかあきれるだろうなあ。 それを象徴するエピソードがある。 ぼくが大学に転職したときは、ちょうど会計システムを入れ替えたところだった。 ようやくサーバー・クライアントのシステムを法人が導入したのだ。 ぼくは企業ですでにそれを経験し、自分の伝票は自分で作成する、ということに慣れていて違和感はなかった。 もともとサーバー・クライアントの会計システムというのは、経理がまとめて処理するのではなく、みんなに分散させて業務を効率化しよう、というものだ。 だから、一人ひとり、自分の担当のものは自分で作成しないと意味がない。 しかし、事務局の課長で伝票を作成していたのはぼくだけだった。 他はみんな担当者がまとめてやっていたのだろう。 これでは、伝票の多いところは効率化しない。 それでも大学はマシな方で、法人では担当を2人増やしてそのサーバー・クライアントのシステムで伝票を作っていた。 なぜかというと、幼稚園や小学校、中学、高校はLANがつながっていないからだ。 だから、相変わらず手書きで送ってきたものを、電子化していたらしい。 これではそもそも入れた意味がない。 そんなことをやっていた。 効率化するシステムを入れて、人が二人増える、ということを矛盾だとわからないのだ。 これでは効率化できるわけがない。 その後どうなったのかは知らない。 そして、ちょうど1年後、新年度になって伝票を作ろうとしたら、参照ができない。 参照機能というのは、古い伝票を見て、それを直して新しくつくる、というもの。 どこのシステムにもそういう機能がある。 だからこそ、効率化できるのだ。 ところが、参照しようとしても、エラーが出る。 あわてて財務に電話をかけて、システムが壊れている、と言うと、担当者は「自分は伝票を作ったことがないから、詳しく教えてくれ」という。 「あのね、学校法人というのは、毎年同じようなことをやっているやろ。だから、伝票も同じようなものができることになるやろ。だから、伝票を作るときには1年前の伝票を参照して、それを変えたらすぐできるやろ。それができへんねん」 こう伝えたら、しばらくして電話があり、「年度が変わると参照はできません」と木で鼻をくくったような回答があった。 何でや、というツッコミは入れたが、仕様としてできない、と言われたらしかたがないのでもう諦めた。 しかし、数年後、このシステムを作った会社の人とひょんなことから仕事で一緒になり、「オタクのシステムは最低や。年度が変わったら伝票が参照できへん」と言ったら、「そんなことはありません。それは学校側がそうしてくれと言ったからですよ」と言われた。 「そらそうやなあ。年度をまたいで伝票が参照できないと、怒るわなあ…」と謝った。 そんな状態の財務部に電子化が効率よくできるわけがないのだ。 そして、もう諦めた。 だんだん思い出したら腹が立ってきたので、この続きはまた今度。 今日は本題に行けず。 |
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