考えたこと2

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科学研究費
大学の先生は外部資金を取ってくるように言われる。

外部資金の主なものは、科学研究費だ。
科学研究費は文部科学省所管の独立行政法人日本学術振興会が持っている研究費で、平成25年度の予算額は2381億円にのぼる。
毎年応募があって、その内容をみて採択するわけだが、ここ3年、採択数はだいたい2万5千件程度になっている。
もちろん、研究だから単年度で終わるわけではなく、3年程度継続する。
その継続中も入れると、平成24年度の実績で76000件になる。
応募されるのが9万5千件程度だから、新規採択数2万5千ということは、出したものの3割弱が採択、ということになる。

研究内容によって分類されており、1人でもいいし、複数の研究者で取るものもある。
ランクの最も高いものは「特別推進研究」というもので、国際的に評価を得ている研究などがこれに当たる。額は5億円程度だが、上限はない。山中教授のIPS細胞の研究などはこれに当たるのだろう。
そこから下がっていくと、「新学術領域研究:(研究領域提案型)」、「基盤研究(S)」、「基盤研究(A・B・C)」「挑戦的萌芽研究」、「若手研究(A・B)」「研究活動スタート支援」「奨励研究」などと続いている。

教員数は大学・短大を合わせて19万人程度。
科研費は新規、継続を合わせて9万5千件で、複数の教員がやっている場合もあるということだから、少なくとも10万人以上の教員が科研費をもらっていることになる。
もちろん、一人で複数件もらっている場合もあるだろうが…。
だから、大学の内容を見るときには、科研費を取っている教員が何人いるか、ということをみればわかりやすい。
まともな大学教員は、まともな研究をしているはずだし、まともな研究であれば最低限、科研費をもらえるはずだからだ。
ここで最低限、と言ったのは、科研費を取っている教員がまともな教員ではないケースは多々あるからだ。
文字通り、最低限の質の保証といえるだろう。
ぶっちゃけた話、科研費と縁のない教員もいる。
そういう教員には、大学レベルの教育はできないと思ったほうがいい。
ただ、歴史の浅い大学は、おしなべて科研費を取っている教員は少ないと思う。
やっぱりちゃんとした教員は、偏差値が高い=歴史がある学校に行くことが多いからだ。
また、そういう大学は、入ってくる学生もしんどいケースも多いのだが…。
でも、しんどい学生が入ってくる学校こそ、いい先生が必要だと思う。

話がそれた。
最近は科研費で問題を起こした事例もあって、用途の管理が厳しくなった。
研究課題の内容と関係がなければ、使っても拒否される。
文系で多いのは、研究出張と人を雇うことだ。
シンポジウムをやったり、イベント関係も多い。
手っ取り早くお金を使うことができるし、結構経済効果は大きいだろう。

しかし、実際の成果はお金を使う割には、驚くほどいい加減だ。
ここにも研究者(大学教員)はいい人という性善説がまかり通っている。
Webページにある1年毎の研究成果の進捗報告は、A4でたった1ページ足らずのものだ。
研究機関終了後の事後評価も同様で、全て自己評価、A4の1枚足らず。
年間2300億の公費の予算でやっている事業が、こんな評価でいいのだろうか。
企業でやっている研究なら、もちろんあり得ない。
報告書をちゃんと書かない研究など、金の無駄遣いだ。
こんなことをやっているから、小保方さんの研究ノートみたいなものが出てくるのではないか。
驚いたことに、研究成果がちゃんと出ていなくても、金を返せということはない。(よほどルール違反をすれば別だろうが)
それもこれも、研究者はマジメにやる、という前提があるからだ。
信用するに足る第三者の評価をするべきだろう。
もしもそれがお金がかかるというのなら、審査の経費を削るべきだ。
何でもいいから、お金を使おうと思ってやっているのではないはずだ。

ひどいのは、海外の研究者を読んでシンポジウムを盛大に開催して、その報告書が出ていないものもある。
こういうのは研究者たちの自己満足のためのシンポジウム開催であって、その記録をちゃんと残そうという気がもともとなかったのだろうと思う。
電話で問い合わせて、驚いた。科研費の報告書は出ています、とのこと。A4の1枚だけだ。
こういうのは詐欺だ。

科学研究費の最大の問題は、ちゃんと研究成果を問うていないことだ。
審査ばかりに手を割いて、お金の使途は厳しくなったが、肝心の研究成果はA4の1枚だけ。
複数年かけてやった研究の成果は、少なくとも科学研究費のWebサイトで一括管理すべきだろう。
一般の人にわからなくても構わない。
成果を研究者間で共有できればいいのだ。
文科省自体、産学連携を言っているのだから、成果を共有するのはいいことだと思う。
もちろん、マジメな研究者もいるのだろうが、例によって報告するのが「面倒くさい」のだろう。
成果のちゃんとした報告書を評価することに、もっと時間とお金をかけるべきだ。
場合によっては、まともな報告書が出なければ、所属機関から返還させる等の処置を義務付けてもいいと思う。
「まともな報告書」の定義はエライ先生方に任せよう。

科研費について、興味をもった人は日本学術振興会のホームページからパンフレットがダウンロードできる。
一度見てみられたらいいと思う。


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