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2014.01.07 Tuesday
自動チューニングマシン
すごい時代になった。
ギターの糸巻きの部分にモーターをつけて、自動でチューニングできるマシンが発売されている。 もともと、ギブソンのギターにOEMで付いていたのだが、代表的なギター用に市販も始まったようだ。 値段は3万円弱。まあ妥当なところか。 ドイツ製、というところが何となく信頼性を感じさせる。 まともな製品、という感じだ。 ビデオをみたら、あっという間にチューニングが終わる。 弦を一度にジャラーンと弾くだけだ。 すごい勢いでクルクルと糸巻きが回る。 チューニングのタイプもいくつかあって、通常のレギュラーチューニングだけでなく、オープンEというような変則チューニングにも対応している。 音の高さは糸巻きの部分で感知するのだろう。 一度に6弦をチューニングするのだから、それしかない。 6つのセンサーと6つのモーターを組み合わせて、一気にチューニングする。 おそらくセンサーは弦の振動数を感知するタイプ。 見ていると迷う様子がない。 本当にデジタルな感じで糸巻きが回って、本当にあっという間にチューニングが終わる。 ぼくがギターを始めた頃は、チューニングは音叉か笛を使ってやった。 たいがいは音叉を鳴らして、それで5弦のAの音を合わせ、そこからは同じ音になるフレットを押さえ、弦と弦の関係でチューニングをしていき、1弦から6弦まで合ったら、最後にオクターブ違いで合わせる、というやり方だった。 そんなやり方だったから、チューニングは難しかった。 絶対音感はなくても、相対的に音の高さが同じかどうかが判定できないとチューニングはできない。 ぼくがギターをやり始めた頃は、フォークのブームだった頃。 なかには、チューニングができない(微妙な音の高さが判別できない)人もいた。 これは気の毒だった。 教えてくれ、と言われても、教えられない。 というか、やり方は教えることができるが、やれるかどうかは音感の問題だから、どうしようもなかった。 いくら素晴らしいギターでも、チューニングが合ってないと悲惨な音になる。 ましてやバンドなどになると、アンサンブルのなかでチューニングしないといけない。 違う音色で音が合わせられないと、こちらもひどいことになる。 そんな時代だった。 しかし、いつしかチューナーができて、音の高さがデジタルで示されるようになり、それが当たり前になった。 今ではスマートフォンでもチューニングできる。 だから、バンドでも音が狂っている、というのはほとんどなくなった。 これはきっと良いことなんだろうと思う。 でも、例によって昔を知っているぼくは、複雑だ。 たぶん、ぼくはこのチューニングマシンは素晴らしいとは思うが、必要はないとも思う。 チューニングを自分でやるところから、演奏は始まっているのだ。 |
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