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2013.12.01 Sunday
小説の国
日本人は大説が苦手だ。小説が得意だと思う。
日本最古の小説は源氏物語。 これは、光源氏という主人公の色恋を描いた小説。 Wikipediaによると、「おおむね100万文字・22万文節400字詰め原稿用紙で約2400枚に及ぶおよそ500名余りの人物が登場し70年余りの出来事が描かれた長編で、800首弱の和歌を含む典型的な王朝物語である。」と書いてある。 これは世界最古の小説の一つ、と言っていい。 500人も登場人物がいる長編小説を、1000年前に作ったのは日本人の誇りである。 この小説に描かれているものは、本当に色恋沙汰。 我々日本人の先祖は「もののあはれ」を主題にして作られたこの小説を読み継いできた。 もちろん、ごく一部の日本人だ。 ぼくも田辺聖子の意訳で読んだだけだ。 でも、そのスケールといい、構想といい、素晴らしい小説だと正宗白鳥も、小林秀雄も、荻生徂徠も、本居宣長も言っている。 しかし、これは大説ではない。 政治や哲学について書かれたものではなく、歴史を書いたものでもない。 孔子のように、儒教的な生き方について弟子が書き記したものでもない。 日本人は、恋愛という人生の小事を大事にしてきたのだろう。 大説などどうでもいいのだ。 そんなことよりも、人と人との関係が大事なのだ。 この源氏物語、死ぬまでに全巻を読みたいものだ。 谷崎潤一郎か与謝野晶子の訳か…。 仕事をやめたら、ゆっくりと読むとしよう。 日本の小説のルーツ。 |
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