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2012.09.08 Saturday
マドンナ
マドンナとは、聖母マリアのこと。
でも、マドンナと言えば、「男はつらいよ」である。 主人公の車寅次郎(渥美清)が、次から次へとふられる相手がマドンナ。 シリーズ全部で40人ほどの女優が出ている。 今の時代、本来の女優というような人は数えるほどしかいない。 でも、昭和の時代の女優はあこがれの人だった。 吉永小百合、浅丘ルリ子、十朱幸代、池内淳子、大原麗子、長山藍子、竹下景子、若尾文子、樫山文恵、八千草薫、太地喜和子、いしだあゆみ、樋口可南子、秋吉久美子など、そうそうたる顔ぶれ。 当時の女優は、バラエティ番組などには出ない。 女優気質というものがあった。 監督が脚本を読んで、誰に役を当てるかというときに、その女優がどんな生活をしていて、どんな考えを持っているかという先入観をもたれたら困る。 過去の作品が勝負だろう。 女優はもともと夢を売る商売。 マドンナはあこがれの対象になるが、それは映画の中の話。 彼女らは、ぼくらに夢を与えてくれた。 だから、ごちゃごちゃした私生活は知らせない。 そういうのが女優気質。 そしてこのシリーズのマドンナ役は、その女優のいいところだけを撮っている。 マドンナの一番きれいな場面を閉じ込めた映画だ。 今朝、マドンナの大原麗子を見た。 1978年の作品。32歳のマドンナだ。 ぼくも年をとった。 大原麗子が生きていれば66歳。 残念ながら2009年に亡くなった、昭和の女優。 本当に魅力的な人だった。 あらためて、彼女が孤独死した、というのが信じられない。 でも、ちょっと影のある女優だった。 あの声と、ちょっとアンニュイなところが、本当に人を惹きつけるものがあった。 スクリーンの中の大原麗子は生き生きとして魅力的だった。 その姿を永遠に残したこの作品。 あらためて、映画はすごいと思う。 |
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