考えたこと2

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アナログとデジタル
ぼくが会社に入ったのが1979年。
実験室での実験が仕事だった。
ちょうどアナログの計測器が終わり始めた時代。
そして、デジタルの計測器が出てきはじめた時代。

アナログの計測器は大変だった。
朝、実験室の前を通るときにスイッチを入れて、暖め始める。
1時間は暖めないと、途中で計測値が狂う。

キャリブレーション(基準信号を入れて、値を合わせること)をやるのも大変だ。
XYレコーダーという機械に書かせて、合わす。
合わすというのは、基準の値のところにペンがいくようにするのだ。
書くと簡単だが、当時この作業をやるのは職人技だった。
ぼくは比較的飲み込みが早かったほうだと思う。
何せ、50センチX30センチくらいの盤面に、スイッチ、ボリューム、ランプなどが100個くらい並んでいる機械だった。
そのうちのいくつかのスイッチを上げたり下げたり、ボリュームを回したりしてペンの位置を合わす。
だいたい、意味などほとんどわかっていない。
何をやっているのかという意味がわかったのは、その仕事をして何ヶ月か経ってからだった。

最初は朝から計測器をいじり始めて、昼からやっと測定、という状態。
数ヶ月経って、やっと朝から始められるようになった。

そんなことをやったのはぼくが最後。

入社2年目くらいで、デジタルの測定器が出てきた。
初めて使ったときはなんと便利な機械だろうと驚いた。
値段も当時のアナログ機器を買った値段より安い。

その後、ぼくの使っていたアナログの機械は捨てることもできず、結局計測器の墓場に行った。

何年か後に捨てられたと思う。

それからだんだんとアナログ機器がデジタル化された。

2000年にはもうデジタル化できるものは、されてしまった。
値段もかなり安くなった。

いざ、そうなってしまうと、あまりに簡単に設定できすぎて、やっている人が設定の意味がわからなくなっていることに驚いた。

これを測るときはこうする。
こちらを測るときは、こうする。
単にスイッチを覚えている方に切り替えるだけだ。
こうなって、初めてアナログの良さに気づいた。
アナログ機器は使う人にやさしくないが、使い方を覚える段階で、自分のやっていることの意味を理解せざるを得ない。

それはいいことだった。

計測は正確になったし、値段は安くなったし、ウォームアップも要らない。
しかし、便利になることがいいこととは限らない。

なるほど。
こういうのをフリーランチはない、というのかもしれない。


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