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2011.05.20 Friday
問う力
最近、小林秀雄の講演のCDをクルマの中で聞いている。
前にも書いたが、この人は1970年代の受験生にとっては、とにかく難しいものを書く人だった。 しかし、今になって話を聞いてみると、よくわかる。 そして、話が面白い。 「私の書くものは難しいといわれるんだよ。」 「みんな、早くわかりたい。」 「でも、わかるっていうことは、苦労するというのと同じ意味なんだよ。」 なるほど、わかるということは、苦労するということか。 高校時代、全く何を言いたいのか、わからなかった。 その人が、「今の教育は、答えを先生が隠して、そして問題を生徒に出す」という。 それは、実際には「答えをあてる」ということであって、考えたことにはならない。 本当に人間が考えるためには、「正しく問う」ということをしなくてはならない。 「正しく問う」という行為だけが、人間の考える力をつけさせる、というようなことを言っている。 ああ、そうなんや…と聞いていて思う。 「問う力」を鍛えるということには、どんなことをすればよいのだろうか。 これは、何度も自分に問いかけるしかないのだろう。 人は、信頼する人と、心を開いて対話するという行為によって、知恵をつけることができる、とも言っている。 プラトンという人が書いているらしい。 それをつきつめると、自問自答という形式になる。 「諸君は自問自答しているか」 そういうようなお話。 高校のときはわからなかったが、今になってみるとわかる。 それは、うれしいことだ。 54歳まで生きていてよかったと思う。 |
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