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2011.05.05 Thursday
戦前の青春
青春という言葉も死語になりそうだが、朝のドラマでは戦前の学生の青春が描かれている。
おひさま、というドラマ。 長野県の安曇野が舞台。 3人兄妹の末っ子の長女が主人公。 今までも芋たこなんきんや純情きらりで描かれてきた。 ぼくらが小学校、中学校の頃は、戦前というと暗いだけのドラマだった。 家族の一人が左翼にかぶれて、特高警察に見つかり、踏み込まれて逮捕されるというようなステレオタイプ。 このパターンばかり見せられると、本当にそんな時代だったのかと思ってしまう。 山本夏彦が「誰か戦前を知らないか」という本を書いて、そんなに暗いことはなかった、とわかるまで、そのステレオタイプを信じていた。 しかし、さすがにこのごろのドラマは、そんなステレオタイプではない。 戦前の学生にも、明るい青春があったということを描いている。 初恋、失恋、受験など、今と同じとは言わないが、それなりに楽しいこともあった。 学校帰りに、店に寄って、友達とおしゃべりする。 松本の中学校に入った兄は、寮でちょっと不良の友達と同室で、それでも楽しそうに暮らしている。 もう満州国ができて、戦争の足音が聞こえている時代。 次男は海軍の予科の入試を受けるという。 母は亡くなり、父と4人の家族。 家での父親に対する言葉遣いが、丁寧語でびっくりする。 本当にそういう言葉遣いで話す家もあったのだろう。 正月は父は着物、男兄弟は学生服で過ごす。 ただ、貧乏な子供は、尋常小学校を出て、奉公に出されるという時代。 やっぱり、今のように豊かではない。 それでも、豊かになった今よりも、心は豊かな気がする。 戦後になって、戦前は全て否定された。 暗く、悪い時代。 しかし、そんなことはないと思う。 少なくとも、ドラマで描かれている学生たちは、今よりも生き生きとしている。 戦前のよいところは、生かすべきだった。 もう手遅れだが…。 |
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