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2010.06.05 Saturday
熱力学
熱力学というものを勉強したことはないが、出張の帰りにクルマの中で話したことがある。
彼は当時のぼくの部下だった。 熱力学を少しかじった事があるという事で、教えてもらった。 出張というのは、毎月1回、茨城県のつくば市にクルマで行っていたものだ。 朝の7時半くらいに吹田に集合して、夜の8時頃に宿舎に着いていた。 帰りはその反対。 夜、暗くなって、阪神高速のオレンジの明かりが見えると、毎回「ああ帰ってきたなあ」という気持ちになったものだ。 彼曰く、熱力学というものにはいくつかの法則がある。 面白かったのは、熱力学には「時間」というものがある。 物理の法則で、時間の概念があるのはめずらしいと思う。 それがエントロピーの増大だ。 具体的に時間が言われているわけではないが、彼はそう説明した。 時間がたったら、熱は一様になる。 熱いところや冷たいところがあっても、時間がたてば全てのところは同じ温度になる、という事だ。 当たり前のことだが、これがエントロピーが増大するということらしい。 「エントロピーの増大」ということがわかりにくいので、簡単に言うとどういうことか?と尋ねると、彼は説明してくれた。 つまり、情報が来ると、整理するためにファイリングするでしょう。それと同じことです。 何も整理されず、情報がただあふれている状況がエントロピーの高い状況で、それをファイリングして、必要なものをすぐ出せるようにするのが、エントロピーの低い状況です。 温度が高いところや低いところがあるのは、エントロピーの低い状況。 放置しておいたら、だれも整理しないでしょう。それがエントロピーの増大です。 熱も同じことで、放置しておいたら全て同じ状態になります。 なるほど。 しかし、「時間がたてば」というのは、面白い。 「時間がたてば、全てが一様になる。」 物理学らしからぬ法則だ。 永遠の時間、というのを仮定していると思う。 調べてみると、実際の法則にはそのようには書いていない。 しかし、彼はそういうニュアンスで説明した。 あれには、彼の考えが示されていたのだろう。 そういう説明を聞いて、西宮インターに着いて、阪神高速に入った。 残念ながら、彼はその後すぐに辞めてしまった。 ぼくも、そのずっと後に辞めたのでえらそうなことは言えない。 しかし、面白いヤツだった。 辞める時に、後任人事の事もあるから、人事課にあまりきついことは言わないでくれと言ったら、そうしてくれた。 短い間だったが、いい部下をもった。 |
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