![]() |
2009.12.28 Monday
クルマ買うなんて…
朝刊の新刊書の広告を見ていたら、「クルマ買うなんてバカじゃないの?」という言葉が目に入った。
「嫌消費」世代の研究 という本の副題。 「経済をゆるがす欲しがらない若者」と書いてある。 ついに出たか…という感じ。 「嫌消費」とか、欲しがらない若者とかいうキーワードにひっかかったワケではない。 クルマ買うなんてバカじゃないの…という言葉にひっかかったのだ。 10年ほど前から、そういう兆しはあった。 ぼくはクルマの部品を作る会社にいたから、社員はクルマに関心がある人が多い。 その会社にいても、何となく感じていた。 「山下達郎が、竹内まりやとつきあえたのは、出たばかりのプレリュードに乗せて首都高速を走ったからだ」というのは、1980年くらい。初代か二代目のプレリュードが出たときだ。 真偽のほどはわからないが、今から30年ほど前。当時の空気をあらわしている。 何度か書いたが、クルマには夢があった。 若者のロマンと言ってもいい。 ただ、ロマンだけではない。 今日より明日、明日より明後日が豊かになる、という漠然とした期待があった。 それがロマンを支えていたと言ってもよい。 働いてお金を貯めて、そしてクルマを買うという夢。 それをかなえることができることが、多くの若者が夢を見る条件だ。 実際にかなえることができた。 若者がローンを組んでクルマを買う。 そんな時代だった。 だから、クルマ買うのは当然だった。 バカでも何でもない、普通の若者の心理だ。 なかでも、このクルマを買ったらモテる、というのが1978年当時のプレリュード。 今なら、「へー、そんな時代があったの?」と言われるだろう。 ところが、10年前になって、「クルマは動けばいい」という若い女性が出現し始めた。 中古のワンボックスあたりで充分、という世代。 それは、生まれたときからクルマがあるという時代背景の影響だろう。 クルマが、「夢見る消費財」から「一般消費財」へと変わりつつあった。 ちょうど、アメリカでリース落ちの中古車が、欲しいものリストで新車を抜いた頃だ。 ぼくらはモータリゼーションの最中に生まれ、クルマと一緒に育ってきた。 どんどん新しい技術が生まれ、新しいクルマが出てきた。 小学校の頃、日産のブルーバードがサファリラリーで勝った。砂漠を土煙をあげて疾走するブルーバード。かっこよかったなあ。 そこから、アメリカの貿易摩擦になるまでに成長した産業。 今は摩擦などない。メイド・イン・アメリカになっているからだ。 しかし、一般消費財になっただけでは、クルマ買うなんて…とは言われなかったろう。 収入が減っているのだ。 若い人に富の配分がされない。 だから、バカじゃないの?とまでいうのだろう。 本の内容は知らないが、今の若い人が消費を嫌っているのではないだろう。 その証拠に、コンビニがあんなにできた。 コンビニの商品はそんなに安くない。 それを支えているのは、若い世代だと思う。 ただ、クルマに対する夢も、そして中古のワンボックスを買うために注ぎこむ余裕もない。 それが原因の一つ。 原因のもう一つは、クルマ以外に魅力がある商品を作ってきたからだ。 携帯の通信費など、その最たるものだろう。 そう考えるぼくは間違っているのだろうか。 本の内容は知らないが…。 |
![]() |